バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

第十七話☆結婚式とハガキ

今日はなんと陽菜子の結婚式!!

学生時代は好きな人なんて居ないと言ってたのに
仕事場でいい人と巡り会ったらしい。

この知らせが来たのはちょうど、恋が
お母様たちと旅行に行ってた辺りだ。

因みに、左京先生と恋は結婚式を挙げないらしい。

二人揃って返って来た理由は「今更だし」と言っていた。

「陽菜子、綺麗ね」

薄ピンクのドレスは陽菜子に似合っていた。

『本当だね』

「教え子の結婚式に
出席するなんて何だか不思議だな」

その教え子の一人と結婚した左京先生が
言うかと思ったが心の中に留めておいた。

無事に終り、会場となっていた
ホテルを出た時にはすっかり、日が暮れていた。

『いい結婚式だったね』

自分が結婚した当時を
思い出しながらマー君に話し掛ける。

『何時か俺たちの子供が生まれて結婚する時が来たら
今日みたいないい結婚式をしてやろうな』

そんなことを言いながら車に乗った。

誰ひとり、何も言わないから気にしてなかったけど
私たち結婚してもうすぐ三年なのに
子供を作ろうなんて思ってもなかった……

『マー君は子供欲しい?』

私は基本的にどっちでもよかったりする。

『今すぐはいいかな』

何となく、そういうと思った。

『そっか』

此処で会話は終わっちゃったけどお互い
長い付き合いだからこの沈黙も嫌じゃない。

あの結婚式から半年経ち、
陽菜子と旦那さんは仕事の合間を
見つけて遅めのハネムーンへ行った。

あの日以来、子供の話しは出て来なかった……

陽菜子たちがハネムーンに
行った二週間後家のポストに一枚のハガキが入っていた。

差出人は、なんと絢菜。

『マー君、絢菜からハガキ』

他の郵便物を退かしながらそれを渡した。

『久しぶりだな』

表に返すと結婚しましたの文字と幸せそうな
絢菜と瀬戸君が映っていた。

『あいつら、結婚したんだな』

マー君が
「結婚式呼べよな」と
呟いたのを聞いて少し可笑しかった。

ハガキに電話番号が書いてあったから後で掛けてみよう。

久しぶりだからきっと話すことが沢山ある。

瀬戸君との経緯とか馴れ初めとか色々聴かなくちゃね。

『マー君、後で絢菜に電話していい?』

きっと、マー君も話すことが沢山あると思う。

何たって、教え子二人が結婚したんだから。

しおり