初めての旅行
俺達は二人がプレゼントしてくれた
温泉旅行に行くために新幹線に乗っている。
車でもよかったが
普段から車通勤だから
たまには、新幹線もいいかと思った。
違う駅弁を買ってわけっこしたり
学生時代の修学旅行の話をしたり
二人旅を楽しんだ。
『こんなにゆっくり
できるのは久しぶりですね』
駅弁を食べ終わり、お茶を飲んでいたら
寄っ掛かりながら言った。
同じ会社で
同じ部署だからこそわかる。
『確かにそうだな』
俺がぶっ倒れる前から
何時も忙しかった。
『向こうに着いたら
ゆっくりのんびりしましょうね』
家とは違って二人きりだからな……
俺の理性が保つかどうか……
付き合う前から{抱いてください}
と言われていたからなぁ(苦笑)
あの頃は色んな意味で
理性を保ってたがそれを
しなくていいと思うと
宿に着いてすぐに押し倒しそうだ……
『そうだな、休みを満喫しような』
平常心平常心。
気付かれない様に深呼吸をした。
新幹線に乗って二時間。
更にバスで二十分。
目的の旅館に着いた。
『やっと着きましたね』
部屋に案内されてとりあえず、
荷物を置き、茶を淹れることにした。
『多佳良、茶がはいったぞ』
窓の側で景色を
眺めていた多佳良に声をかけた。
『ありがとうございます、蒼介さん』
隣にぴったりとくっついて来た。
可愛いなぁ。
家では何かと気ぃ使って
くっついてこようとしないからな。
『なぁ、家でもそうやって
くっついて来ていいんだからな』
あの二人は最初から気にしてなかったが
多佳良の中では
思うところがあったんだろう。
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観光は明日にして今日は
とことん寛ぐことにして
ダラダラしながら夕方まで過ごした。
いい旅館なだけあり、夕飯も豪勢だった。
温泉も堪能して部屋に戻ると
布団の上に正座した多佳良がいた。
緊張してるのがよくわかる。
『蒼介さん……』
普段から[抱いてください]なんて
言っていた多佳良もいざヤるとなれば
そりゃ、緊張もするだろう。
今日は、最後まではできないだろうな。
『なるべく優しくするからな』
緊張を解すようにキスをしてから
布団に押し倒した。
浴衣の帯を解いて素肌を晒す。
日焼けしないタイプなのか色白だ。
『多佳良は日焼けしないのか?』
スルッと腰を撫でながら訊いてみる。
『ん、子供の頃から
日焼けしないタイプなんです』
恥骨を撫でると
恥ずかしそうな声が聞こえた。
いいんだか悪いんだか
同性だから何処をどうすれば
気持ちよくなるのかは大体わかる。
わかっていたことだが
抜き合いと後孔を少し慣らすくらいで
やはり、最後まではできなかった。
初めてなんだし、時間も機会も
沢山あるだろうから
焦らずに少しずつやっていけばいい。