限界
あれから更に一ヶ月。
とうとう、俺は倒れた。
『藍原さん!!』
意識が遠退く直前に
聞こえたのは裃の焦る声だった。
*+†+*――*+†+*
目が覚めると白い天井。
あぁ、病院か……
倒れた時感じた暖かい腕は裃だろう。
横にあるナースコールを押した。
「藍原さん、目を覚まされたんですね。
先生を呼んで来ます」
医者は直ぐに来た。
『寝不足と過労ですね』
正味二ヶ月寝ていないんだから
ぶっ倒れるのも当然だよな(苦笑)
『何日くらい寝てました?』
手元にスマホがないから
今が何日なのかわからない。
『二日ですね。
その間、ご家族様と
部下の方がお見舞いに来ていましたよ』
どっちにも迷惑をかけてしまったな……
『そうなんですね。
ありがとうございます』
裃……
一番会いたいと思った。
翌日の夕方、
裃が見舞いに来てくれた。
『藍原さん、目が覚めたんですね!!
よかった~』
安堵の声。
『心配かけたな』
ギュッと抱き寄せた。
『藍原さん!?』
今度は驚いた声。
『好きだ』
耳元で囁いた。
抱き締めた瞬間、溜めていた想いが溢れた。
『好きだ』
もう一度囁くと抱き締め返してくれた。
『嬉しいです。
今から恋人ってことでいいんですよね?』
抱き締め合ったまま頷いた。
家族の二人には悪いと思ったが
この気持ちを隠しておくには限界だった。