回避
カオルの全身から青白いオーラが立ち上ると、魔剣ブラッドソードの強大な意識が流れ込んできた
「カオルよ、ソナタに偉大なる我が力を授けよう
あヤツを殺せ、行け、カオル」
魔剣の怒り狂った意識は一瞬、制御不可能に思えたが、カオルはこの意識に抗った
カオルは決してブラッドソードに意識を乗っ取られることを拒絶した
「魔剣ブラッドソードよ、お前の主はこの私だ、身をわきまえよ」
と言う
ブラッドソードはさらに怒り狂いながら言う
「何をほざくか、小娘が、我なくして汝に何ができる、我を拒むな」
カオルは恐怖のなか必死に訴えた
「ブラッドソード、聞け、お前は我が剣であり、お前の方こそ私がいなければどうするつもりだ、また、あの暗闇に戻るか、ブラッドソード、私は私の意思で戦う」
と激しく言う
魔剣ブラッドソードはしばし考えると言った
「フンッなるほどな、まぁ良かろう、今回は汝に従おう」
すると青白いオーラが消えていき元のカオルに戻った
その姿を見たサンジェルマン伯爵は一瞬、ゾッとした
額から一筋の汗を流している
サンジェルマンは笑うと言った
「フッ、凄まじい力よな、魔剣ブラッドソード、これはちっと分が悪いかもしれんな、では諸君、私はそろそろおいとまさせていただくとしよう、では、あとは任せたぞイエズラ、さらばだ」
カオルたちは「待て、サンジェルマン」と叫んだが、サンジェルマンは透明になっていずこかへ消えていった
シュタイナーが苦々しい顔で消えたサンジェルマンの場所を睨み付けていた
最上階の塔の部屋の中で事のしだいを見つめていたイエズラは軽いため息を漏らすとテレパシーを使ってカオルたちに言う
「いよいよ最後の戦いだな、魔界女王サカキバラカオルよ、来るがよい、貴様に引導を渡してやろう」
そうテレパシーが伝わると白い床に魔方陣が出現した
最上階に行くためのテレポーターであった
カオルはみんなを見ると笑顔で言う
「やっとあたしの出番が来たみたい、行ってくるね、みんな」
皆はカオルに笑顔で言う
バルボア
「ああっ行ってこい、勝てよ」
シユナイター
「ここで待ってるぞ、カオル、決着の時だ」
ククト
「カオル、全ての力をだしきれ、大丈夫だ、今のお前なら必ず勝てる」
カオルはみんなに軽く手を振るとテレポーターの前までゆっくりと歩いた
仲にはいるとカオルは白い光に包まれて消えていった