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巨乳女騎士を添えて~四天王との再会もあるよっ!


「ってええええええ!!!!」

 俺の号令と共に魔導砲は一斉に発射されると、凄まじい音を立てて、エネルギー弾が魔族の大軍に向かって飛び、多くの魔族に着弾すると、それらを押し込み、体を折り、破壊し、落としていく、隣に飛んでいる仲間が一瞬で破裂し消える、前方で盾を構えていた魔族は弾を弾き返し、後方に控えている者を守るが、それでも間に合わず、多くの者が脱落する。

「みんな!!」

 獣魔の四天王は、落下していく魔族を見ると、前に飛行している魔族の頭を飛び移りながら前方へと移動していく。
 魔導砲は再び青白い光を放ち、次弾を装填すると。

「よし、打てえええええええ!!」

 俺は再び号令を掛け発射するが、大軍の中から抜け出し、一人、前に跳躍したその獣魔は息を大きく吸うと、地獄から這い出る悪魔の唸り声のような、その絶叫を、轟かせる。

「ギヤ˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝!!!!」

 咆哮は、前方から迫ってくるエネルギー弾を霧散させ、さらに、船体までも細かく振動させるほどの威力をみせ、俺の思考は一瞬停止した、それはアイツの気絶させる能力の影響を受けたわけではなく、単純に、この状況が信じられなかったからだ。

〔ピーピー、左船体に損傷…ピーピー〕
「チッ…うそだろ…ヴォックス!!」
「え、なに!? ヴォックだと!?」

 咆哮が終わり、落下するヴォックスを仲間の魔族が回収すると、再び、軍の一番前へと立つ。
 ヴォックス、あいつはホント、いつも意外なところに現れる、それに、アイツの鳴き声、周りのヤツらを気絶させないよう、手加減できるようになってやがる、いつそんなこと出来るようになってやがったんだ、クソッ!!

「ジン君、タダ働き、させに来たよ」

 まずい、アイツの登場は予想外だった。
 これだったら乳山の言う通り、逆側に逃げた方が逃げ切る可能性は高かったろう。

「ヴォックス…お前、よっぽど俺が嫌いみたいだな」
「え? い、いや、ちが――」
「だが、覚悟しろよ、今の俺は最強の武器を二つ持ってる、テメーのところに帰るつもりはないし、言うことを聞くつもりもない」
「あ、うん…そうだよね」
「お前がいるなら、手加減出来ねーぞ」
「こっちも…するつもりはないよっ!」

 俺は合図を送り、それを見た乳山は剣で樽の上部を破壊すると、美しいバーガンディ色のワインの中へと手を突っ込み、指輪の能力を発動した。
 シュン―シュン――と見る見るうちに減っていくワイン、同時に群れを成して飛んでいた魔族が一人また一人と、飛行をやめ落ちていく。

「ま、まずい!」
「遅いんだよ!!」

 ヴォックスは俺の様子を見て、察したのか、後ろを振り向いたが、先程の砲弾と、今の攻撃で三分の一程、軍隊を減らされ、急いでゲキを飛ばす。

「みんな! 大きく動いて! 上下左右何処でもいい、とにかく止まらないで!!」
「チッ…」

 それを聞いた魔族たちは、羽を使い、でたらめに上下左右、ランダムに飛び始める。
 知ってたか。
 そう、体内の一部に転移させるにはとんでもなく精密な操作が必要だ。俺が尿路に豆を転移させた時も、甲板下の限定された空間だったから出来た芸当で、基本的に、この転移の指輪は攻撃用に作られていない、俺が勝手に応用しているだけだ。だから、座標を正確にとらえられないと、思い通りの効果が得られなかったりする、それを、アイツは知っていたのだ。
 やめだ。
 なら、もう一度アレをやるしかねーか。

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