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【二十八】交わり


 その後も、夜になる度に、俺とロイは同じ寝台に入ったのだけれど、ロイは指で俺を解すだけだった。不安になって、俺は尋ねた。

「ロイは辛くないのか?」
「ジークに無理をさせたくないんだ」
「っ、その……もしかして、俺じゃ、勃たないか……?」

 俺が小声で問うと、ロイが吹き出した。そして俺の頭を撫でると、首を振る。

「すぐにでもジークと繋がりたいのを、俺は我慢しているんだ。煽るようなことを言わないでくれ。自制するのに必死なんだ」
「っ……自制なんて、しなくていい。俺、俺、ロイが好きだから、その……」
「俺もジークを愛している。だからこそ、大切にさせてくれ」

 そう言って、その夜も、ロイは指で俺を愛した。
 そんな日々が続き、俺は本日は、涙ぐんでいる。

「ジーク。今日は三日月の夜ではないが、絶対に妊娠しないとは断言できない。嫌ならば、避妊する」
「ロイ、いい、いいから。俺は、ロイとの愛の証なら、子供が出来ても構わない」
「――そうか」

 俺の返事を聞くと、ロイが微笑した。

 その後俺達は体を重ねた。
 俺がぐったりと寝台に沈むと、ロイが横になり、俺を抱き寄せた。

「好きだ、ジーク」
「ん……俺も、ロイと一つになれて、すごく嬉しい」
「本当に可愛いことばかり言うんだな。そこも、好きだ」
「ロイ、キスしてくれ」
「ああ、いくらでも」

 ロイが俺の唇に、触れるだけのキスをした。その後俺は、ロイに腕枕をされたまま、眠ってしまったようだった。

 ――その日を境に、ロイは俺を眠らせてくれなくなった。

 次に目を覚ますと、俺の体は清められていた。泥のように全身が重くて、指を動かすのも大変だ。俺は喉が渇いていたから、虚ろな瞳で水を探した。すると隣に寝転んでいたロイが気付いて、柔和な笑みを浮かべた。ロイは、絶倫だと俺は思う。

「ほら」

 ロイが俺の口元に、水の入ったグラスを近づけてくれた。俺は必死で水を飲む。
 俺は水を飲み終えてから、改めてロイを見る。
 好きでたまらない。そう考えてから、俺は再び微睡んだ。



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