ネルモアの動揺
城の最上階で見ていたネルモアはイエズラに姿を変えないでカオルたちを見ていた
拳を握りしめると考えた
(あやつ、あの時の男のように、あんな娘の力になるために死んだのか
信じられん、人間は恐ろしく自分の事ばかりを考える生き物ではなかったか
私は
私が生きてるときにはあのようなヤツなど一人もいなかった
なぜだ
なぜ、他人のために命を犠牲にする
なぜ、そんな愚かな事をするのだ
私は
私は間違っているのか)
そんな気持ちになると闇がネルモアの心をつかんだ
闇は言う
(ネルモアよ、たまたまじゃあ、たまたまそのような者がいたに過ぎぬ
事実、世の中を見たであろう
その見たものが現実よ、汝はこの道をいかねばならぬ
よいな、ネルモアよ)
その声を聞いたネルモアはあまりの恐ろしさに身を悶えた
ネルモアは疲れた顔をしながら言う
(承知しております、私は必ず事をなすでしょう
心配にはおよびませぬ)
ネルモアがそう言うと闇は笑いながら去っていった