食事
リビングに戻る。
『お腹すいたし夕食にしよ!私作るから待ってて』
『ああ、うん、ありがとう。僕も手伝うよ簡単だし』
『いいの、私一人で大丈夫だからそこのソファにでも座ってて』
なんだか愛莉には隠し事があるみたいだ。
僕は窓の外を見る。時計上では午後7時だが、白夜なので明るい。
『こうやって愛梨が料理を作る姿を見るのはあと何回できるのかな』
ボソッと呟く
こんな状況なのに愛梨と二人きりで生活できている事に喜んでいる
自分が憎たらしく感じる。
僕は再び外を見る。さっきと全く変わらない景色だったので目でも瞑って待つことにした。
(シュー)
モジュール同士を繋ぐ隔壁が開く音がした。愛梨がトイレにでも行っているのだろう。
(シュー)
20分ぐらいしてまた隔壁が開く。
『少し動きにくいかな』
(ブチャ、カチャ、トントン)
愛梨がキッチンで何かしている。
『んー?どうしたらいいかな?』
なんか愛梨が困っていようだ。
『大丈夫?』
僕は目を瞑ったまま聞く
『え!?あ大丈夫!座ってて』
ずいぶん時間が経って
『できた!、若田出来たよー』
僕は愛莉の方を向いた。
『え?』
『ん?何?』
『どうしたんですか?その猫耳?』
愛梨は猫耳姿のメイド服ぽいのを着ていた。この前のライブで使った衣装の改造の様だ。いつもよりも胸の谷間が強調されている。
『どう?可愛い?』
『あ、う、うん、どうして?』
『あ、顔赤いww照れるぐらい可愛い?これね一度はやりたかったの!まっ、座って』
愛梨は僕に近づき手を引いてテーブルまで連れて行く。
僕は椅子に座った。
『ちょっと待ってね』
愛梨が紙皿を持てきた
紙皿の上には僕の好きなハンバーグとカレーライスだった。
『ねえどう?驚いた?若田の好きなハンバーグ作ってみたよ』
『え、あ、ありがとう、どうやって?作ったの?』
『ほら今回の探査ミッションの終わりに食べる予定だったステーキをナイフで細切れにして丸めたのをレンジで焼いたの。どう?ハンバーグに見えるでしょ。』
『え、そんな方法で?』
『凄いでしょ、あ!これ忘れてた』
愛梨が赤色のドロっとした液体をハンバーグにかけた。
愛梨が突然手でハートを作り。
『ジュワジュワ〜! ぴゅあぴゅあ~! みらくる~きゅん! ハンバーグちゃん、おいしく…な~れ! ピカ〜ン! はい!ほら美味しくな〜れの魔法かけたから食べて!』短いスカートがふらふらと揺れて今にもパンツが見えてしまいそうだ。
『あ、うん』
僕は驚きつつも一口食べる。
『美味しい?』
愛梨が天使の様な笑みで聞いてくる。
『うん、美味しい』
なんだか今まで食べてきたハンバーグで一番美味しく感じた。
『本当? 嬉しいじゃ私も食べよ。あ!そのカレーはレトルト
だからね。あ、でも秘密の隠し味入れたからね』
『え、何入れたの?』
『んー内緒、あ!そうだじゃあ無事に日本に帰れたら教えてあげる。だから頑張ってね』
『ああ、頑張るよ』
食事を終えて紙皿を片付けた。