302章 ソラの優先順位
テオスの街を訪ねると、ソラを発見した。復興しているはずの女性は、どうしてここにいるのだろうか。
「ソラさん、どうかしたんですか?」
「テオス様がいなくなったので、すぐに戻るようにいわれたんです」
アカネの街の復興よりも、テオスのことを心配する。テオス一人の命は、「セカンドライフの街」に住んでいる全員の命よりも重い。
「テオスさんは、家にやってきました。容態に不安があったので、一緒にこちらに戻ってきました」
ソラはテオスの姿を発見すると、険しい表情になった。
「テオス様、どこに行っていたんですか?」
テオスは苦しそうに答えた。声を発する余力すらなくなっている。
「アカネさんのところを、訪ねていました」
「テオス様、安静にしてください」
テオスの体が、前に大きく傾く。
「わかりました。ソラのいうとおりにします」
「一度でも無茶をしたら、命はないといわれています。瞬間移動の能力を、使用しないでください」
ソラはいつになく、声をとがらせていた。テオスに対する怒りは、かなりのレベルに達している。
ソラはアカネに頭を下げる。
「アカネさん、迷惑をおかけしました」
「気にしなくてもいいですよ」
「テオス様の姿を確認できたので、復興に戻らせていただきます」
ソラは瞬間移動の魔法を使用し、アカネの街に向かった。アカネも同じようにしようと思っていると、テオスから声をかけられた。
「スケジュールに余裕のあるときは、こちらを訪ねていただけませんか?」
「わかりました。1年に1回になるかもしれないけど、テオスさんを訪ねたいと思います」
「ありがとうございます」
テオスは横になると、すぐに眠ってしまった。アカネは安全を確認したのち、「セカンドライフの街」に戻ることにした。