298章 バナナを与える
住民は長蛇の列を作っていた。
アカネの姿を確認すると、住民は一斉に膝をついた。
「アカネ様、食料を恵んでください」
「おなかがすいて、倒れそうです」
「子供に何かを食べさせてあげたいです」
「アカネ様、お願いします」
アカネは付与された能力を使用して、大量のバナナを生み出す。住民は食べ物が出現したことに、腰を抜かしていた。
「バナナを配っていきますので、しばらくお待ちください」
最初に列に並んでいる人に、バナナを50本プレゼントする。
「アカネ様、ありがとうございます」
住民はバナナを大切そうに見つめていた。非常時ということもあって、食料は貴重な存在となっている。
次に並んでいたのは母親と小さな子供。母親は20歳くらいで、子供は2~3歳くらい。「セカンドライフの街」の住民にしては、結婚は遅い部類に入る。フタバの子供のように、一桁の年齢で籍を入れる人は珍しくない。
子供は不機嫌なのか、大声で泣いていた。
「バナナです」
母親はすぐに、子供にバナナを食べさせる。子供は落ち着いたのか、大声で泣くことはなくな
った。
「アカネ様、ありがとうございます」
バナナを配る→バナナがなくなる→バナナを生み出す→バナナを配る→バナナがなくなる→バ
ナナを生み出すというループを繰り返す。全員にバナナを渡すまでは、これを繰り返さなければならない。