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「絵が完成したら見せてほしい」
公園で出会った女性……
昨日は、描いている途中のあとほんの少しで終わりそうなところで帰ることにした。
空気が冷えてきて、空もだいぶ暗くなったからだ。
菜摘さんに危ないから早く帰りなさいと言われたのも大きかった。
僕は家に帰ってから、あの時見た記憶を総動員して最後の仕上げを完成させた。
そして今日、菜摘さんとの約束を果たすために僕はまた公園に来た。
昨日みたいに、みんなが遊び終わるまで、僕はブナの木の下のベンチに座っていた。
中には僕の存在に気づいた人もいたが、誰も僕に声をかけることはなかった。
普段僕をいじめてくる男子たちも、菜摘さんが公園にいる間は僕のことを攻撃してこない。
僕はそれをいいことに、比較的穏やかな心持ちでみんなの帰宅を待っていた。