256章 黒い水をきれいにする
次の場所に案内された。
「次はこちらになります」
水の色は炭さながらに真っ黒。腐敗したというよりは、自然に黒くなったと思われる。
「水を放置していたために、水は黒く染まりました。アカネさんの魔法で、自然の状態に戻してください」
水を黒くさせる成分として、二酸化マンガンがある。二酸化マンガンと付着することによって、水は黒くなるといわれる。
目の前の水については、二酸化マンガンが原因とは思えなかった。水が真っ黒になるまで、墨汁を流し続けたかのようだった。
水をきれいにする魔法を唱えると、水はみるみるうちにきれいになった。
「アカネさんの力をもってすれば、どんな水も一瞬できれいにできますね」
水を浄化する能力は知らなかった。この能力があれば、「セカンドライフの街」で使えない水を、生まれ変わらせることができる。すべての水を使用できるようになれば、社会発展の大きな道しるべとなる。
「アカネさん、成分を分析して下さい」
分析魔法を使用すると、水の分析が細かく表示された。
「テオスさん、成分を確認してください」
テオスは10秒ほどで、分析を終了させた。
「こちらは問題ないようです。次の場所をお願いしたいです」
移動しようと思っていると、テオスは大きな欠伸をする。
「睡眠不足なので、睡眠を取ってもいいですか?」
「いいですよ」
「ここでは睡眠を取れないので、アカネさんの家を貸してください」
「わかりました。自宅でくつろいでください」
「アカネさん、ありがとうございます」
テオスの睡眠を取るために、自宅にワープすることにした。