255章 水の塩分除去
次にやってきたところは、透明な色をしている。外見だけだと、何の問題もないように映った。
「きれいな水をどうすればいいんですか?」
「塩分を抜いていただきたいです。塩分濃度が高すぎて、飲み水、生活水として利用できません」
分析魔法を使用すると、塩分濃度は10パーセントとなっていた。海水が3.4パーセントとされているので、3倍近い塩分濃度である。どのようなことをすれば、このような濃度になるのだろうか。
通常の人間が口にしたら、身の危険にさらされる。下手をすると、命を落とすリスクもある。
30グラムの食塩を一気に摂取すると、体に異常がみられるようになる。カップラーメン換算だと、4~5つくらいで危険水準に入る。
さらに塩分を取ると、死に至ることもある。人間の塩分の致死量は、体重の0.3パーセント程度。60キロの人間なら、180グラムの塩分で命を落とす。
塩分だけでなく。砂糖、ビタミンCにも致死量はある。過剰摂取にならないよう、気を配っていきたい。
「塩分を取り除く魔法を使用します」
水を増やすことによって、塩分濃度を下げる。塩分濃度を下げたいときは、有効なやり方となる。
アカネは水を増やすのではなく、水の中にある塩分を除去する。元々あったものを、なかった
ことにする魔法をかける。
塩分除去の魔法を使用すると、塩分濃度は0パーセントになった。塩分を除去した水なら、飲料水、生活水として使用できる。
「テオスさん、終わりました」
「とっても早いですね」
「魔法を使用すれば、あっという間に終わります。分析魔法をかけるので、水の成分を確認してください」
塩分以外の要素についても、魔法で分析をかける。不純物が混じっていると、使用するのは厳しくなる。
テオスは成分を、10秒足らずで終了させる。こちらの能力についても、異次元といえる。どんなに頭のいい人であっても、10秒では確認できない。
「水に異常はないみたいです。アカネさん、ありがとうございます」
「水質の維持魔法をかけます」
水の状態を維持するために、維持魔法を使用する。
「テオスさん。終わりました」
「アカネさん、次の地域をお願いします」
「はい。次のところに行きましょう」
現実世界では、ほとんどの水を使用できない。その部分については、忠実に再現している。