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新商品狂想曲 その2

 酔っ払ってしまったパラナミオも数時間で無事元気になりました。
 その間、巨木の家の精霊ミンスがずっと側に寄り添ってくれていたので僕も安心していた次第です。

 で

 元気になったパラナミオに、イエロとグリアーナの鬼人コンビを加えて、今度は鬼人酒造のお酒用のポスターも撮影していきました。
 太陽光自家発電システムを導入していたおかげでデジカメで撮影が出来て、パソコンで編集が出来て、プリンタで印刷出来るさけです。
 そろそろ残量がやばめなトナーカートリッジに関してはスアが魔法であれこれ研究してくれているところなのですが、それ以外は特に問題なくあれこれ行うことが出来ている次第です、はい。

 そんなわけで、パラナミオとイエロ&グリアーナコンビでの撮影をしたわけですが……

 スアビールストロングのポスターには、イエロとグリアーナが狩りから帰ってきたところでグイッと読み干したシーンを使用することにしました。
 やはりスアビールは喉越しがガツンとくるのが売りですので、一気に飲み干す爽快感を一目で感じられる方がいいかなと思った次第です。
 んで、パラナミオを鬼人酒造のお酒のポスターに使用しました。
 当初の予定通り、キャッチコピー-は『デビュー!』ってことにして、『鬼人酒造のお酒あります』って文字を小さめに挿入しておきました。

 で

 文字入れとか陽光処理とかパソコンであれこれ作業をした後に印刷したポスターの見本を、いつものように魔女魔法出版のダンダリンダに渡しまして、それぞれポスターサイズ100枚とチラシ2000枚づつ印刷してもらいました。
 打ち出したデータがあれば、魔女魔法出版の印刷技術を駆使してそれをコピーすることが可能なんです。

 全部プリンタで印刷していたらあっという間にインクカートリッジがなくなってしまいますし、魔女魔法出版にお願いすれば、僕の世界でいうところの光沢印刷的な美麗な仕上がりにしてもらえますので、すっごく助かっているんですよね。

「それよりなにより……タクラ店長様がご使用になられておられます、そのパソコン……それをどうにか私どもの魔女魔法出版に導入出来ない物かと……」
 いつものように発注してから2分もかからずに完成した印刷物を届けに来てくれたダンダリンダは、そう言いながらパソコンをまじまじと見つめていました。

「そうだなぁ……パソコンとなるとさすがに簡単にはいかないかな……」

 パソコンに関してはスアもすっごく興味を持っていまして、インクカートリッジ共々毎日のように魔法で研究しているんですけど……こっちに関してはまったく目処がたっていない感じですね。
 気がついたら、マインスイーパーに夢中になっているスアの姿がなんとも言えず可愛いな、と、思ったりしつつ見守っている次第です。

◇◇

 そんなわけで、コンビニおもてなし全本支店にてスアビールストロングと鬼人酒造のお酒を扱いはじめて2日目。
 告知用のポスターもコンビニおもてなし全本支店に配布しました。
 僕が現在店長を務めている辺境都市ウリナコンベにありますコンビニおもてなし7号店でも、入り口から入ってすぐの壁に2枚のポスターをでかでかと掲示しました。

 このポスターはおもてなし酒場やおもてなし食堂エンテン亭・ピアーグ食堂などにも掲示しています。

 一切告知を行っていなかったにもかかわらず発売初日から爆発的な売れ行きを見せているスアビールストロングと鬼人酒造のお酒だけありまして、今日も朝からその2品を求めるお客さんがコンビニおもてなしに殺到していました。

「はいはいはい! スアビールストロングと鬼人のお酒は1人3本ずつまで! みたいな?」
「♪さぁ~一列に並んで~
  ♪他の商品も手にとって~」

 レジでは、元コンビニおもてなし4号店の店長で、7号店の副店長のクローコさんと、元超有名な吟遊詩人であったブロンディさんの2人が息の合った声と歌声をあげながら接客をこなしてくれています。
 新人さん達がまだまだ不慣れな感じなのですが、それをしっかり補ってくれている次第です。

「パパ! パラナミオも寝ていた間の分まで頑張ります!」

 そう言って、賭けだしたパラナミオも、元気いっぱいの笑顔で接客を開始しました。

 なんといいますか、レジに3人が並んでいると、結構な数のお客さんが殺到してもすんなり処理出来ている感じです。

 ……なんというか、感慨深いなぁ

 この世界に飛ばされてきてすぐの頃って、僕が一人で何もかもをこなしていました。
 そこに、イエロとセーテン……の2人は接客にはちょっと向いていなかったので割愛して……ブリリアンやシャルンエッセンス、そしてシャルンエッセンスに仕えていた元メイド達が加わって、あれこれ試行錯誤しながらもどうにかコンビニおもてなしの営業を続け、頑張って支店も増やしていったわけなんです。

 そのおかげで、今のコンビニおもてなしは本支店会わせて7号店までお店を増やすことが出来て、さらにはおもてなし商会やおもてなし出張所、定期魔道船まで運行する総合商社みたいな感じに成長しているわけです。

 ……なんというか……我ながらすごいですよねぇ

 そんな事を考えていた僕ですけど、やっぱり基本はコンビニおもてなしなわけです。

「よし、僕も頑張らないとな」

 一度気合いを入れ直した僕も、レジに向かって小走りに駆け寄っていきました。

 この日のコンビニおもてなし7号店は、最終的に開店以来最高の売り上げを記録することが出来ました。
 ひとえに、スアビールストロングと鬼人酒造のお酒のおかげです、はい。
 ちなみに……鬼人酒造のお酒に引っ張られる感じで、タクラ酒もそれなりに売れたもんですから、僕も内心嬉しく思っていた次第です、はい。

◇◇

 しかしあれですね……

 お酒関連の新商品が増え始めた今日この頃ですが、そろそろソフトドリンクも増強しないとな、と思ったりしています。

 コンビニおもてなしで扱っているソフトドリンクと言いますと、スアの使い魔の森で製造されているパラナミオサイダーの他に、プラント魔法で毎日精製されている高級茶葉を使用した紅茶や、テトテ集落で購入した果物を使用した果汁100%ジュース「テトテの恵み」シリーズが好評なんですけど、炭酸系が1種類というのは少々寂しい感じですからね。

「僕が元いた世界ではコーラだけでもいろんな種類があったしなぁ……」

 コーラや炭酸といった僕が元いた世界で販売されていた飲み物の在庫は、賞味期限の関係があるのですべて魔法袋の中にいれて保存してあります。
 魔法袋の中では時間が止まっていますので、こうしておけば理論上永久に新鮮なまま保存しておくことが出来るわけです。

 で

 その中のコーラやソーダ系の在庫を手に、僕はスアの使い魔の森を訪ねました。

 豊かな自然があふれかえっている、ここスアの使い魔の森。
 一度崩壊した世界が再生している途中らしいんですけど……そんなことは微塵も感じられません。

 その一角。

 爽やかな湧き水がすごい量湧き出している湖の近くに、コンビニおもてなし飲料水製造工房と、コンビニおもてなし酒造り工房の建物が並んで建っています。
 来る度に建物が大きくなっていますので、今も増産のために増築しているようですね。

 プラント魔法で増やすことも可能なのですが、プラント魔法では1日に製造出来る量が少ないですからね。
 大量生産となると、やはりこういった工房があると便利なわけです、はい。

 ここは、このスアの使い魔の森を仕切っている最年長の魔獣であり、スアの使い魔第一号でもあるタルトス爺が管理運営してくれています。

「……と、いうわけで、このコーラやソーダに近い飲み物を開発してもらえないかな、と思っているんだけど……」
「ふむふむ……そうですな、ちとお時間をくだされ」

 僕から受け取った在庫の飲み物を手にしているタルトス爺。
 その周囲に、工房で働いているスアの使い魔達がワラワラと集まってきて、早速あぁでもないこうでもないと、製造方法をめぐって議論をはじめています。

 僕も、その輪に加わってあれこれ思ったことを発言していきました。
 
 はてさて、どんな飲み物がコンビニおもてなしのラインナップに加わることになるのやら……

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