164章 終わりの兆候
魔物退治を開始してから、400日目を迎えていた。
魔物の数は減っているものの、1日に7体くらいは見かける。全滅させるまでは、まだまだかかる予感がする。
敵を探していると、家庭用のタンスが出現した。これまでには見られなかった、新しいタイプの敵である。
タンスの引き出しは、5個となっている。見た目だけでいうなら、一般家庭にあるタイプと同じような作りとなっている。
大きな相違点となるのは、真ん中の引き出しに、2つの目がついていること。これを利用して、敵を認知するものと思われる。
タンスが一番上の引き出しを開けると、身体が吸い寄せられるような感覚を受ける。
敵の攻撃を無効化したあと、どうなっているのかを確認。タンスの引き出しから、身体を吸い寄せる魔力が働いていた。
タンスは一番上の引き出しをしめたあと、上から2番目の引き出しをオープンする。大量の弾道ミサイルが、こちらに向かってくる。上から2番目の引き出しには、弾道ミサイルが入っているようだ。
弾道ミサイルを、逆向きに発射する魔法を使用。アカネの発射されたミサイルは、タンスの方角に向かうこととなった。
弾道ミサイルが、ダンスの上部に命中する。衝撃が大きかったのか、ドカーンという音が響き渡っていた。
タンスはダメージを受けたものの、ピンピンとしている。弾道ミサイル程度の威力では、倒すことはできないようだ。
タンスが上から3番目の扉を開けると、大量のマムシが飛び出してきた。1ミリも予想していなかったため、アカネは慌てふためくこととなった。
マムシにかまれるのは、女性にとってはかなりの屈辱。バリアをすることによって、マムシが身体に密着しないようにする。
マムシが跳ね返ったのを確認すると、炎の魔法で焼き尽くしていく。
タンスが上から4番目の扉を開けると、〇〇〇、〇〇〇〇、〇〇〇〇〇〇が合体したようなものが、こちらに向かってきた。インパクトだけでいうなら、マムシを完全に上回っている。
バリアでシャットアウトしたものの、しばらくは動くことができなかった。タンスから出てきたものは、女性にとっては受けいけられないものだった。
タンスが最後の扉を開けると、「セカンドライフの街」で使用される、お金が大量に出てくることとなった。
貧乏人なら拾うかもしれないけど、アカネは超がつくほどの大金持ち。偽札ごときに、心を誘惑されることはなかった。
偽札はバリアに触れると、1枚1枚が爆発することになった。薄い紙の中に、地雷のチップが埋め込まれていたようだ。
タンスは埒が明かないと思ったのか、複数の引き出しを同時に開けた。ワープで全てを回避したあと、タンスの内部に炎魔法をお見舞いする。外側は鉄壁だとしても、内側は脆さがあるかもしれない。
炎魔法をヒットさせると、タンスの動きはおかしくなった。これを見て、内部に弱点を抱えているのを知った。
バリアをはった状態で、上段から引き出しを取り出していく。アカネが思っていた以上に、簡単に取り出すことができた。
引き出しのなくなったタンスは、何も仕掛けてこなかった。アカネは絶好の好機を生かし、タンスに技を繰り出していく。
防御力を失った敵になすすべはなかった。あっという間に絶命することとなった。