163章 パワーアップ(気のせいかもしれません)
おにぎりパワーを得たことで、心の元気を取り戻すことができた。
魔物を探していると、節分に登場する鬼の仮面が出現する。魔物界においては、こういうタイプの敵も存在するようだ。
鬼の仮面を見ていると、小さい頃に参加した節分祭を思い出す。親が○○亀が大好きということもあり、浅草寺に何度も足を運んだ。
節分祭にはいろいろな行事があるけど、醍醐味は豆まきとなっている。会場では豆を拾うために、多くの人が参加していた。スペースはまったくなく、バランスが少しでも崩れたら、ドミノ倒しになってしまいそうだった。それゆえ、周囲に神経を尖らせていた。
大人数の豆まきは、地面に落ちてから拾うのではなく、手でキャッチする技術を要求される。身体の成熟しきっていない女性にとっては、ハードルが高くなっている。
浅草寺で豆をまいていたのは、男だけとなっていた。女性については、一人も参加していなかった。男だけを参加させることに対して、男尊女卑の精神が続いているのを感じた。福を呼ぶことについては、女性は男性よりも優れていると思っている。
男性だけが豆をまくのは、浅草寺以外にもたくさんある。女性が全ての神社で、豆まきに参加できるのは、いつになったら実現するのだろうか。
節分の敵である鬼の仮面に対して、強烈な拳を繰り出す。おにぎりを食べた効果なのか、パンチの威力は10倍近くに感じられた。
スピードについても、明らかに違っていた。自分の身体なのかと思うくらい、キレを感じられた。
鬼の仮面にパンチがクリーンヒットすると、ダイナマイトが爆発したような音が響き渡った。これまでと比べると、明らかに音が違っている。
鬼の仮面は姿を見せることはなかった。パンチ一発で、魔物を倒すことができたようだ。
「おにぎりパワーは絶大だね」
鬼の仮面の次に現れたのは、鬼が使用する金棒。威力を高めるためなのか、棒は尖っていた。
鬼の金棒に、空中キックをお見舞いする。こすったような音がしたのち、10000個の地雷を爆発させたような音がする。
終了したかなと思っていると、金棒が姿を見せた。あれだけの衝撃を受けても、ダメージを受けているようには見えなかった。
物理攻撃がダメだとしても、魔法攻撃がある。炎、氷、雷、風、光、闇のいずれかで、金棒をやっつけていこう。
敵は顔面に向けて、金棒を振りおろしてきた。瞬間移動のスキルを使用して、顔面直撃の攻撃を回避する。
敵のガードが甘くなっているところに、サンダーの魔法を打ち込んでいく。勇気をもらったからか、威力は400パーセントになっていた。
サンダーの魔法は、鬼の金棒にクリーンヒット。敵は真っ黒こげの状態で、地面に落下することとなった。
鬼の金棒は絶命したのか、姿を見せることはなかった。アカネは短時間で、勝利を得ることができた。