156章 戦闘力の高さ
扇風機の羽と戦い始めてから、6時間が経過しようとしている。
長時間の戦闘をしているうちに、まわりはかなり明るくなっていた。
羽は回避力に優れており、攻撃を命中させることはできなかった。素早さだけでいうなら、最初のゴキブリ以上である。
扇風機の短所は、攻撃力の低さ。敵を倒せなければ、長期戦は必至だ。
扇風機の羽はどういうわけか、本体の方に戻っていく。こちらは気にしておらず、完全な無防備状態となっている。
絶好の機会を利用して、魔物に攻撃を繰り出す。ここでしくじろうものなら、さらに時間を浪費することになる。仕事を早く終わらせるためにも、さっさと片付けてしまいたい。
気合が空回りしたのか、魔法攻撃の軌道が完全にずれた。直径2メートルの魔物に、かすりもしなかった。
二度目の魔法を唱えようとする前に、扇風機と羽が合流する。
二つが重ね合わさった直後、羽が黄金色に変化することとなった。身体にエネルギーを、蓄えているものと思われる。
充電している方向に向けて、電気の魔法を唱えることにした。電流過多にすることで、ショートさせるのが狙いだ。
電気の魔法が当たったあと、扇風機の羽が勢いを取り戻す。敵の動きを見ていると、作戦が失敗したのを悟った。
やってしまったことは、変えることはできない。気持ちを切り替えて、扇風機と戦おうと思った。
扇風機の羽は力を取りもしたらしく、とんでもないスピードで、こちらに向かってくる。スピードだけでいうなら、先ほどよりも格段に早くなっている。
動きの精度については、大きく低下している。スピードを手に入れた代償として、コントロールを失うこととなった。
早くやっつけたいところだけど、攻撃を命中させるのは難しい。扇風機の羽がランダムに動くのを、目で追い続けることしかできなかった。
めちゃくちゃに動き回っていた、扇風機の羽がぴたりと止まった。その後、粉々に砕け散ってしまった。アカネは何もしていないのに、勝利を手にすることとなった。この展開については、
まったく予想していなかった。
魔物に勝利するためには、「スタミナ切れにしてからとどめをさす」、「限界を超えるまで待つ」という2つが有効のようだ。それ以外の方法では、勝利を収めるのは厳しい。戦闘力については、アカネと遜色なかった。