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風宮の長①

依頼を引き受けて、数日が経った。
あの後、再度カザハナが来て、謁見日が伝えられていた。

その日が今日なのだ。

「はぁ……、緊張して来た……」

カザハナに連れられ、風長が住む宮殿( 風宮(かぜみや))まで来たヒナは、ドキドキッと動く心臓を静めようと、何度も深呼吸を繰り返していた。

「大丈夫よ。あの方は、お優しい方だから、心配要らないわよ」

なかなか緊張感がとれないヒナを見て、カザハナは優しく声をかける。

「それは、そうなんだけど……。
うう……。やっぱり、緊張するよー!」

国の一番偉い人に会う。
こんな事は滅多にない為、無理もない。

とてつもない緊張感が襲うヒナ。
その一方、サクヤはいつも通りな様子。

対照的な二人を見て、
相変わらずだなっと、カザハナは苦笑する。


そんなやり取りをしていると、
三人の前に、一人の青年が立っていた。

「ごめん、ハヤテ。お待たせ」

青年を見付けたカザハナは手を振り、
青年、ハヤテに声をかける。

「いや、大丈夫だ」

ハヤテはそう言い、ニコッと笑う。

「ハヤテさん、お久し振りです!」

「どうも、久し振りっす」

ハヤテもまた、
サクヤとヒナの知り合いで、カザハナ同様、会うのは久し振りなのだ。

「やあ、二人とも。久し振りだね。
それじゃあ、早速で悪いが、此方だ。来てくれ」

そう言うと、ハヤテは三人を"ある扉"の前まで案内する。

その扉は、見るからに豪華だが、主張しすぎず、周囲との調和がとれていた。

「風長様、ハヤテです。何でも屋のサクヤとヒナ。両二名、お連れしました」

扉をノックし、二人を連れて来た事を伝えるハヤテ。
その後、中にいる人物からの言葉を待つ。

『ああ、分かった。入って良いよ』

中にいる人物からの言葉を聴き、
全員姿勢を改める。

「それでは、失礼します」

ハヤテの言葉を合図に、扉は開かれ、
サクヤ達は緊張しながらも、中に入った。

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