③
「その依頼。俺は受けるぜ」
「えっ!」
悩む事なく、スッと返答をするサクヤに、ヒナは驚き、サクヤを見る。
「本当に良いの?」
これには、カザハナも予想外だったようで、再度サクヤに意思を問う。
「ああ、良いぜ。
どうせ、次の依頼なんて、いつ来るか分かんねぇし。なら、依頼受けた方が、楽しそうじゃん」
そう言い、サクヤは片方の口角を上げる。
どうやら、楽しみなようだ。
楽しそうなサクヤを見たヒナは、口元に指をあて、考える。
そして、直ぐに決心したようで、ヒナははっきりと宣言した。
「わ、私もやる!!」
「ヒナ……」
カザハナは少し不安げに、ヒナを見つめるが、決心したヒナの目を見て、ふーっと息を吐いた。
「……分かった。そう決意したなら、私は何も言わない」
そう言うと、カザハナはニコッと笑いと、二人に背を向ける。
「それじゃあ、この事は、風長様に伝えるわね。詳しい事は、また後日」
カザハナは手をひらひらっと振り、その場を後にした。
「……決まっちゃったね」
緊張感から解けたヒナは、
色んな感情を乗せたため息を吐いた。
「お前こそ、良いのかよ。依頼引き受けて」
「良いの!
これが……、私なりに考えて、出した結果だから!」
「ふーん」
決意するヒナ。
そんな様子を見て、特に反応する様子のないサクヤ。
風長の依頼を受ける。
この二人が出した結論が、
後に自分達の運命を変える事になるとは、まだ知らない。