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第138話 子供服

「ただいま」
僕とミーアがそう言って帰ると。
「パパ、ママおかえりなさい」
イングリッドとエルンストが抱きついて迎えてくれた。26日ぶりの我が子とのふれあいに僕もミーアも子供たちの頬にキスをして愛情を伝える。
「2人とも良い子にしていたか」
「うん、ちゃんと文字の練習も、剣の練習もしてたよ」
見ると庭の片隅にある打ち込み稽古用の杭は明らかに削れてあと僅かで切り倒されそうだ。うん、7歳児の打ち込みの結果とは思えない。そしてチラリとギディオンを見ると。ニッコリと笑顔で首を横に振った。どうやら文字の練習はあまりできなかったようだ。
「パパと一緒に文字の練習しようか」
「ええ。パパには剣を見て欲しい」
エルンストは剣が好きなようで、いつも剣を見て欲しいとねだる。
「文字の練習が終わったらね」
さすがに対ドラゴン戦のあとはしばらくゆったりと過ごしたい。
「ねえ、ドラゴン素材で子供たち用に普段から着ていられる防具を作らない」
ミーアが突拍子もない事を言い出した。
「いきなり、どうした」
「イングリッドもエルンストも竜の祝福があるからめったなことは無いとは思うけど、いくら強いとは言っても子供だもの。経験が足りないわ。またラーハルトみたいなことがあったらと思うと」
もう、あんなことは無いとは思うけれど、ミーアの気持ちも分からないではないので
「そうだな、ファイアドラゴンの素材で何か作れないか相談してみよう」

「それで、これが……」
「お子様達の負担にならないギリギリで、それでいて防御力も並みの重装鎧にも負けないものが出来たと自負しております」
バーンハードさんが示すのは数着の子供服にしか見えないもの。ワンピースをはじめとするイングリッド用の普段着から少しばかり装飾を加えたパーティドレスまで。そしてカジュアルな装いのシャツとスラックスからフォーマルなドレススーツまでをエルンスト用に揃えてある。どれもがそとうは見えないがファイアドラゴン素材を使った実はとんでもない装備だ。
「バーンハードさん、ますます腕を上げましたね。素晴らしい出来です」
子供たちに着せて見せながら感想をもらす。
「侯爵閣下のご子息のためですからね。持つものを全て尽くさせていただきました」
「ありがとう、これでミーアも安心できるだろう」

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