第二十三話 呂布奉先、ローマを治める <序>
ラクレスの両目がいっぱいに開き、呂大夫を見つめた。
呂布には二人の会話の意味が分からない。
可比能と季蝉も黙ってやりとりが終わるのを待っている。
「わかりました…呂大夫様…」
ラクレスは半ば放心したようにそう答えた。
可比能はその瞬間、体を変え呂大夫に拝礼し言った。
「ありがとうございます呂大夫様。未熟者ではございますがこの大任の一助となるべく砕身の努力を惜しまないつもりです」
もういつものかすれて大人びた声に変わっている。
だが目の輝きだけは嬉しさをかくせていない。
呂大夫はその言葉に頷くと大事な話があると言い、ラクレスと可比能に下がるよう促した。
ラクレスは我に返ったように顔をあげ、残りたがる可比能をつまみあげて部屋から退出した。
あとには呂布と季蝉が残った。