第八十話
「そこまで言ってくれるなら、普段からなんであんなにダメ出しばっかりすんだよ。俺だって色々考えてやってるんだぜ?」
「そうですね……一番大事にしてもらいたいことが、3人にはなかったからかもしれません」
「ふーん? で? それは何なの?」
「泉さん、牧野さん。あなた達は我慢し過ぎている。痛かったら痛いと言って欲しい。
ここにいる裏方は私一人です。迷惑はかからない。撮影の最中でも、一旦止めますから。
……広瀬さんは、よくカメラを意識してくれますね。
ですが、女性が痛くないようなセックスをするよう心掛けてみてください。多少動きに派手さが無くても、それは私の方でなんとかします」
広瀬は特に反論もせず、首を前に突き出してうんうんと頷いた。
態度は頂けないが、彼なりに飲み込んでくれたようだ。
俺は話を続けた。
「目の前の女性のエロスを引き立てることが、視聴者のエロに訴えかけることに繋がる。
これはこの業界に入ってから私が学んだ下っ端なりの経験です。……泉さん、あなたは妊娠されていますよね?」
ギクッと固まる泉。
やはりそうか。