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第三話

テレビ局を解雇になってから2年。


俺はAV業界に籍を置く都内の事務所で、プロデューサーとして働いていた。


正直言ってあまり興味のない業界だった。


しかしこの際仕方がないと思えたのは、とりあえずでもプロデューサーになることが出来るからだった。


今の会社は数人で運営している小さな事務所のため、カメラ撮影から編集、人材登用、動画の企画、予算確保、会計処理等と、プロデューサーの仕事範囲を大きく超えるものもあり、残業をすることもしばしばある。


が、そんなこと俺には関係ない。


しんどいとすら思ったことはない。


しかしいざ現場に出てみると、意外にも「(もよお)す」ことは全くなかった。


いや、催すような現場でなければならないのだが……。


出演する男優・女優がどれもぱっとしない者ばかりなのだ。


別に顔が不細工であるとか、体が貧相だとか言うつもりはない。


ただ何というかこう、匂いたつような内面からの色気が、彼らからは全く感じられないのだ。


重大な問題だが、それは俺の企画でなんとかカバーできるだろう。


だが、自分だけが気持ちよくなるようなセックスを繰り返す。


ありきたりな古典的手法で相手を愛撫する。


俺が何よりも許せないのはこれだ。

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