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No.23 メインキャラ達、心臓に悪いからやめい

ああ、びっくりした。
さっきのは夢か……。
さっき、自分は夢の中で叫んでいたのか、乙ゲーのメインキャラの前で。
自分がどこにいるか分からないが、ふわふわベットで眠っていたことは分かった。
眼は閉じており見えないが、音は聞こえる。
何人か近くにいるようだ。

「姉さんっ!!」

遠くでルイの声がする。
うん、ちょっと待って。あんな酷い夢を見て疲れたんだよ。
まだ、寝たい。

「ちょっと待ってって……僕の話聞こえてるんじゃないの?」

うん、遠くで

「遠くっ!? 危ないっ!! 帰ってきてっ!?」

えっ??
眠ったままでいると、突然体が揺れ始めた。

「姉さんっ!! 起きてっ!!」
「ルイ様、そんなに体をゆすっては……」

叫ぶルイとメイドのティナの声が聞こえる。
しゃーねな。
悪夢を見て起きる気分じゃないけど、起きてやるか。

「はいはい、起きますよぉ」

うちはだるい上半身を起こし、重たい瞼を開いた。
そこには、ルイとティナ以外にも人がうちが眠っていたベット周りに椅子を置き、座っていた。

「大丈夫ですか?」「大丈夫かい?」「大丈夫……?」「大丈夫か?」「大丈夫なんですか?」

ええ、そうです。
乙ゲーのメインキャラであるエリカ、フレイにハオラン、ルースとクリスタがいた。
ほっといてくれ。
主人公たち。
悪役令嬢になんかかまってるといいことないぞ。
起きて早々嫌な人物たちがいる光景に長い溜息をつく。

「それは…アメリア様が私たちを見てとても驚かれていらっしゃったので……。その、私たちは何かアメリア様に不快に思われることをしてしまったのでしょうか……??」
「いや??」
「それではなぜ……??」

エリカは首をかしげる。
彼女はその行為でさえ可愛さを醸し出してきた。
さすが、主人公というかなぁ……。
じゃなくて。
当然、あんなにぎゃあぎゃあ叫んでいた本当の理由なんて言えない。
きっと、事細かく説明したとしても、狂った人間としか思われず、精神病院行きだ。
かといって、なんと説明したらいいのやら。
てきとーにでっちあげるか。
先のことを考えるようなめんどくさいことはせず、テキトーにウソの言い訳を作った。

「そのなー、みんなが貴族貴族しすぎて驚いたっていうか……」
「そっかぁ、姉さん。庶民の出って言ってたもんね」
「そうだ、ルイ」

右隣りに座っていたルイの方を見る。
またもや事実に気が付いた。
ルイも攻略対象者じゃねーか。

「お、おまえっ……」
「えっ、姉さんどうしたの??」

義弟のルイはうちのことを心配してか思いっきり顔を近距離に近づける。

「はぁ……とりあえず、うちは大丈夫だから、みんなどっか行ってくれ」

そういうと「あ、はい分かりました」「お大事に」などと言い、うちが疲れていると判断したのか気を使って、みんな颯爽と退出してくれた。

これは研究どころじゃない。
あいつらを全力回避しなければ。
研究する前にうちは死ぬ。
前みたいに。
前みたいに??
うちは首を横に激しく振り本題に目を向けた。
ゲームはスタートしてしまった。
そこはどうしようもない。
対策をしなければ。
うちはあの乙ゲーのゲーム内容を思い出すことにした。

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