No.21 お前は??
「ねぇ、姉さん。明日、いよいよ学校だねー」
「ああ、そうだな」
ルイは魔物に襲われて以来、すっかりうちに懐きいつでもついて来ていた。
別にそれほど邪魔ではなかったし、うちの助手としては最高の弟であったので、文句は言うことはしなかった
ぽかぽか陽気の中うちとルイは庭でお茶をしていた。
うちは魔法に関する本を読み、ルイはこちらを見つめていた。
ずっと。
「楽しみだなー」
「なんでお前が楽しみにしてんだ。お前の入学は来年だろ??」
「えっ?? 違うよ。今年だよ」
「えっ??」
すると、ルイはニコッと太陽のごとく笑う。
「僕、ちょーと頭いいから今年入学なんだ」
「はぁ??」
初耳なんだけど。
聞いてないよ、ルイさん。
「だから、僕も一緒に姉さんと入学だね」
可愛い義弟は満面の笑みを浮かべているが、うちはというと苦笑い。
ルイはうちの様子から察したのか、付け加えるように言った。
「あ、姉さんの研究の邪魔はしないから」
「あたりまえだ」
★★★★★★★★★★
「ああ~!! フレイ様に会えるのねっ!!」
少女は豪勢な部屋でクルクルと踊る。
「しかも、フレイ様は婚約を破棄された!! ああ~、私にチャンスが舞い降りてきたのね」
少女は学園内の寮に住んでいた。
一般の寮ではなく、王族・貴族の寮に。
「あの眠り姫のアメリア王女様に感謝しなきゃだわね」
★★★★★★★★★★
「おぉ!! ここがウィスタリア王立学園かぁ!! 最高だな!!」
「姉さん、楽しそうだね!!」
うちは学園入学の日を向え、ルイとともに学園に来ていた。
「じゃあ、うち探検してくるから、荷物とかよろしく」
「了解~」
「ルイ様、そんなこと、なさらなくてもっ。てか、アメリア様は一旦寮にある自室に向かってください」
付いてきたティナが注意する。
「やーだね」
と言い放ち、かけっこのスタートダッシュのごとく走りだす。
誰がじっとしてるかっ。
研究室に向かわないとっ。
デブ王女の頃とは違い十分に体力のあるうちは全力ダッシュし、研究室のある棟に向かう。
するとそこには1人の少女が立っていた。
少女はあたりをキョロキョロ。
迷子だろうか??
「ここどこだろう……」
「おい、お前どうしたんだ」
少女の肩をぽんと叩くと、背中を見せていた彼女は振り向いた。
この子は……。
その少女の顔に見覚えが非常にあった。
いいや、見覚えどころじゃない。
確かに見たことがあった。
「エリカ……??」