No.13 そして、その日はやってくる
「アメリア王女。突然ではありますが、私との婚約お受けしていただけますでしょうか??」
んー。
これは誰にもきいていないんだがなぁ。
フレイはウィンフィールド国の王子だし、
この前までデブだったし、ブスだよ??
カレミナはまぁ、
とうちは考えていると横から肩をトントンと叩かれた。
振り向くと
「アメリア、返事をしなさい」
「いや、聞いていないんですが?? こんな話」
「ヒラリーから聞いていないのかい?? まぁ、いいや。とりあえず、『はい』と返事をしなさい」
いやいやいや。
やだよ。
好きでもないやつと婚約なんぞしたくないんだが。
研究したいんだが。
「おっさん、うちウィンフィールド国の学校で研究したいだが……」
「おっさんって……せめて、おやじぐらいにして。じゃなくて……この婚約は研究をしたがっているアメリアにとって好都合じゃないか。フレイ君と結婚すれば研究もできるし」
「王妃にそんな暇ある?? うちは一日中全ての時間を研究に費やしたいんだ。
「まぁ、でもそんなこともないんじゃないかなぁ。結果を出せば、いくらでもやらせてくれるだろうし」
そうだとしても、結果出すまでがな……。
そう考えこんでいると、
「そうだね……もし、この婚約を受けたら、
うちはすぐさまフレイの方に体を向けた。
「はい!! お受けしますわ!! フレイ様!!」
そう返事をすると、フレイはパッと笑顔になった。
「えっ、ほんとですか!?」
「ええ、ほんとですわっ!!」
研究のためならなんでもするに決まってんだろーがよ。
「ああ、これで逃げない」
「ん?? 何かおっしゃいました??」
「いいえ。何も」
うちが返事をした瞬間からフレイはとんでもなく微笑んでいた。
なんか、不気味に感じるけど、どうでもいっか。
★★★★★★★★★★
あの婚約から5年がたった。
あれから毎日のようにフレイがやってくる。
正直に言うよ。
うざいね。
外に行く時間は減るし、何しろ研究ができない。
そんなことも構わず、
「アメリア、今日は何をするんだい??」
これだけ聞くと、うちの旦那みたいだ。うるせえな。
「今日は本でも読みますわ」
6年たった今でもフレイに対しては王女モードである。
「そっか。僕も隣で本を読むね」
こんな調子でフレイはずっとうちに付きっきり。
周りはうちとフレイが仲が良いと思っており、もう容易くは断れない。
そのため、午前中は大抵フレイとの時間である。
こんな感じで毎日を過ごしていたのだが……。
でも、うちがあんなことをするとは思ってもいなかった。