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お出かけ

そういうわけで僕とアンはブレイに仲の良いところを見せつけてやるために、お揃いの指輪とペアルックの服をゲットしに行くことになった。



「指輪なら、行きつけの店があるんだ」

「どうせ魔法の指輪屋でしょ?それ……」

とアンに突っ込まれる。



「いや、普通のもあるし、魔法の指輪って綺麗なのも多いんだよ?どうせなら君の身を守ってくれそうなマジックリングにしたいし」

という僕。ネクロマンシーの指輪はまさか彼女が自分に好意を持っていると思わなかったから、値打ちものを渡そうとしただけで、女の子がカワイイ指輪が好きなことぐらい僕だってわかっている。



「いーけど、今度ドクロマーク入っているのを贈ったら、結婚一年延期だからね?」

彼女は結婚を止めるとは言わなかった。



「任せて!僕が知っているマジックリング屋は品数も豊富だからきっと気に入るものがあると思うよ」

僕は彼女の手を引きながらマジックショップが並ぶ怪しい雰囲気の街並みを歩いて、その店へと向かう。



その店はこじんまりとしていたが高級感があった。

中に入ると奇天烈な、しかし、どこか懐かしい匂いのお香が焚いてある。

魔除けの香だ。



「こんちわー、ジェニファお姉さん!」

お姉さんはどこにもいなく、そこにいるのは老婆。

「おやおや、今日はカワイイ子を連れてきて、お姉さん妬いちゃうわよ」

としわがれた声で老婆は僕をひやかす。



「今日は結婚指輪を買いに来たんだ!綺麗で可愛くて、僕のお嫁さんを守ってくれそうな指輪あるかな?」

と「姉さん」に聞いてみる僕。



「それなら、この念話の指輪なんかどうじゃろう。ペアでつければ念じるだけで意思疎通ができる。見かけも可愛らしいし魔法の指輪に見えんじゃろうて」



アンはその指輪みて

「へー魔法の指輪なのにこんなにカワイイのもあるんだ。アクトくん、これで良いよ。アクトくんといつでも話せるっていうのが気にいっちゃった。これ結婚指輪にしよ?」



決断はや。しかしこの指輪。夫にとっては鎖にもなるわけで、結婚早々既婚者って感じになるなぁ。これがマリッジブルーか。しかしこれを断るのも変だよな?

「うん、じゃぁ姉さんコレいただける?」

「どうも、ありがとう。1500グレアになります」

僕は姉さんに金貨と銀貨5枚を渡す。

「改めておめでとう。二人がいつまでも幸せでありますように!」

とジェニファ姉さんは祝辞を述べた。



「早速身につけるかい?」

もちろん、身につけるに決まっている。



その指輪の魔法石は普通の水晶の指輪に見えた。装飾はそこそこ。古代魔法帝国の結婚指輪であるという曰く付きの品らしい。なるほど結婚指輪としても自然なわけだ。

古代の魔術師の夫の苦労を想像する僕。



身につけると早速アンの声が聞こえてきた。

(聞こえる?アクトくん)

(聞こえるよ?愛している)

思うだけだから照れくさくない。

「バカ」と僕を叩くアン。

「そういうことは口で言えって!もうっ」



慌てて僕は

「ご、ごめん。愛しているよ。アン」

と口に出して言った。



その言葉を聞くと

(バ、バカ)と彼女は今度は口で言わないで文句を念話で言った。



慣れんなコレは……。でもコレなら彼女に危険が迫ればすぐ僕は知ることができる。

とても良い結婚指輪のお買い物になった。



店を出ると

(ねー、今度は洋服を買いに行こう?ペアルックになってブレイを慌てさせてやりたいんだ?)とアンは話しかけてきた。



(うん、思いっきりラブラブなところを見せつけてやりたいものな?)と僕。

(私が服全部決めて良い?)

(良いよ)……俺は服選び正直自信ないしな。

(じゃ、サイズ測ろうね?今日は)

「じゃぁ仕立て屋に行くか」

気がつくと精神が疲れているのに気づいた。おそらく魔力消費による精神の摩耗だろう。

「なんか息がきれるね?これが魔法なのかぁ」

と感想を述べるアン。



その日の最後僕は仕立て屋で、きっちりサイズを測られました。

仕立て屋さんも僕たちを祝福してくれた。



オーダーメイドでペアルックの服を作ってくれる客が来たことで、お店の人喜んでいたな。



「ペアルックの服のデザインは私に任せてね?」

僕が測られている間、彼女はカタログを見ながら、どんな服をつくるのかを仕立て屋に指示を出していた。



完成したらあとで服は賢者の塔に送ってくれるそうだ。

急ぎで一月かかると言われた。忘れかけてたけど、ちょうど「納期」が来る頃だな。



ブレイに僕たちのラブラブっぷりを見せつけてやろう!


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