バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

秀長9

 秀吉の北条攻めが決まった。これには家康は困ったようだ。同盟を結んでいたからだ。それで急遽天海が北条に向かった。北条を破ると天下統一が目の前に見える。だが秀吉はどこかお祭り騒ぎなのだ。狗は秀長に付いて北条攻めに向かっている。この頃から目立って秀長の体調がよくない。
 蝙蝠から繋ぎが入って陣の中を家康の陣に忍び込む。陣の中は服部が取り囲むように守っている。雑兵に紛れて陣幕の裏側に回る。ここでは今仮屋敷の建設中だ。
「ここです」
 合図があって蝙蝠が姿を現す。陣幕の片隅に連れて行く。2人の下忍が眠らされている。家康の横に宗矩がいて正面に天海が座っている。
「北条は駄目ですな」
「やはりな。北条は滅ぶか?次は?」
「伊達も時間の問題でしょうな?」
「秀吉が天下を統一するか?」
「これからは豊臣家の覇権争いかと?」
 今の天海には光秀の面影は全くない。
「まず秀次と秀長ですが、扱いやすいのは秀次でしょうな?」
「くノ一を入れております。秀長の狗を除くべきでしょう?」
と宗矩が答える。
「北の方と茶々がこれから台風の目でしょうな?茶々は任せてくだされい」
「北の方はこちらで動こう」
 そう言うと家康は席を立ち宗矩が後ろに続く。天海の傍に京之助が付く。やはり天海の警護は京之助のようだ。天海が小声で話す。その瞬間京之助の脇差が飛ぶ。

しおり