秀長5
秀長の元に順慶の死がもたされた。
「病死と言うことだがどうだろう?」
「私が放っている下忍の報告ではくノ一が忍び込んでいたという話と、その同日に以前奪った徳川の領地が再び奪い返されたと」
「さすがに疑わしいな?」
「後は息子に?」
「根回しをしてみる」
「問題は大和が息子では難しいのではないかと?」
ここは柳生の地も服部の地もある。ここを徳川が握ることになると豊臣も揺らぐことになる。これを秀長は考えている。秀長の部屋を辞すると天井裏に潜る。ここ数日蝙蝠達が服部と暗闘を繰り返している。狗はすべるように千利休がいる茶室の天井裏に入る。ここは夜に年寄りが入口を作っている。這わないと入れない狭さだ。
利休の前にいるのは黒田官兵衛だ。
「秀吉殿と家康殿は上手くいくのですかな?」
「まず1歩は踏み出したところです。だが家康殿も天下は諦めてはおりませんゆえに」
「今のところ秀長殿がうまくまとめておられると?」
「私の苦手とするところです。これは私の手のものが探ってきた話ですが、秀次殿に摂政を譲るとかいう話が?」
「それは殿下より相談も受けました」
これは秀長からも聞いている。
「それが最近は茶々殿の閨に度々いかれているとか?それを手引きしているのが光成殿だ。その光成殿自身が単独で閨にいることも少なくない」
「どう対処するかですな」