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国王様との会談

 私が前世の記憶を思い出して1週間が経過した。
 その間、お父様は私につきっきりになってくれた。
 あの仕事命のお父様が……、信じられなかった。
 私はお父様と話をした。
 前世ではコミュニケーションを取れていなかったからこんなに話すなんて凄い新鮮な気持ちだ。
 そして今日、私達父娘は王様に呼ばれお城に来ていた。
 所謂謁見の間ではなく応接間に通され待つ事数分。
「いやぁ、待たして悪かった。こっちから呼び出して申し訳無い」
 ドアを開けて入ってきたのは40代の優しそうなおじさんに見えるが何を隠そうこの国の王様、ハイヌ・ピッツワーク様である。
「マリアナ嬢も体調は大丈夫かい?」
「ご心配をかけて申し訳ありません。もう体調は大丈夫です」
「そりゃあ良かった。レイトも心配していたんだけど・・・・・・、まぁアイツには良い勉強になっただろうね」
 そう言って笑うハイヌ様。
「ところで国王様、今日のご用件は?」
「あぁ、そうだったそうだった。君のお兄さんに関してなんだけど」
 ハイヌ様の発言でお父様の顔は真剣になった。
 お父様のお兄様、クエント・レインツェル公爵はレインツェル一族の族長でありこの国ではかなりの発言力がある。
 ただ貴族の中では余り評判はよろしくない。
 何故なら自分ファーストであり出世命で手段を選ばない人なのだ。
 今回の私とレイト様の婚約もクエント伯父様の強い推薦だった、と私は後から聞いた。
「クエント公爵は最近余り良くない噂を耳にしてね・・・・・・、どうやら反旗を企んでいるらしい」
「兄上がですかっ!? しかし兄上は忠誠を誓った筈ですが・・・・・・」
「表に出てる事が真実とは限らない。うちの諜報部が色々調べてみたら真っ黒だった」
「そうですか……、兄が申し訳ありません」
 お父様は頭を下げた。
「いやいや、君が謝る事じゃない。いずれは何らかの策をしなけれあならない、と思う」
「その時は喜んで協力させてもらいます。血筋よりも国の方が大事ですから」
「よろしく頼むよ」
 こうして、お父様と国王様の会談は終わった。
   

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