陰謀4
順慶が北伊賀を制圧したのを見届け狗は引き上げた。今は狗の忍者も手が足らない。長老から繋ぎが入った。毛利の忍者に襲われて下忍が２人死んだとある。それで蝙蝠を連れて山陽道を走る。秀吉は姫路城で四面楚歌になっている。
「長老、毛利の忍者は？」
「２０人ほどが姫路城に出入りしている。城の中は秀吉の忍者が固めている。だが秀吉の忍者ももう５人が殺されている。いずれ暗殺を仕掛けてくるだろうな？」
それで毛利の忍者が通る床下に潜った。丸３日目に影の気配を感じた。蝙蝠に合図を送る。５人がすでに仕掛けていた床を外して屋敷に入る。狗は蝙蝠を連れて後を追う。しばらくすると門のところから火の手が上がった。誘導だ。狗は秀吉の部屋に飛び込む。すでに部屋には忍者が剣を構えている。小姓が２人秀吉をかばっている。
狗がいきなり２人を切って蝙蝠が１人と対峙する。小姓の１人が切られる。狗は手裏剣を一人に投げて飛び上がる。小姓を切った忍者が振り返る。狗の剣が受け止められる。だがその間に秀吉が部屋の外に出る。ようやく蝙蝠が相手を切って手裏剣を受けた忍者に切りかかっている。狗は追いつめている。柳生の剣に比べれば怖くない。
部屋に侍が入ってくる。慌てた毛利の忍者が背を向けたところを切りつける。それに対して侍が押さえつける。忍者は舌を噛んで死ぬ。
「狗か？」
秀吉の声がする。
「順慶の手のものです」
「聞いていたが助かった。順慶に令状を入れて置く」
狗と蝙蝠は頭を下げると引き上げた。これが縁で秀吉の仕事もするようになった。姫路には蝙蝠を残して早やがけで大和に戻る。大和には５千の兵で溢れていた。
「どうした？」
「弾正が招集をかけたのです。だがまだどこを攻めるかは不明です。何かあったら狐から知らせが入ります」
