陰謀5
くノ一から京にいる明智の元に家康が来ると言うと繋ぎが入った。狗は鼠を連れて京の屋敷に入る。鼠は塀の手前で逃げ道を確保する。裏庭から床下を覗いたが人の気配がする。それで2階から天井裏に入る。ここにも2人いる。廊下には京之助が2人の侍と立っている。仕方なく鼠の得意技の吹き矢を飛ばす。これでしばらく寝ているだろう。
天井裏に行くと下の部屋に上座に家康と宗矩が下座に光秀が座っている。
「宗矩から物騒な話を聞いたが?」
「興味はないと?信長はもう誰にも手に負えなくなり・・・」
「興味はなくはない」
「ただ見つめていただいているだけで」
歯切れの悪い話が続く。だが双方は通じているようだ。
「弾正を?」
宗矩が口を挟む。
「弾正では信長は倒せない。だが彼は相当追いつめるはず」
「また反逆か?」
「その次は私が弾正を使う。弾正は特異な能力がある。私は斎藤道三と朋友だ」
宗矩が頷いている。すでに調査済みのようだ。
「その時に果心は一時私の中にいた」
「まさか?」
宗矩が驚いている。
「だが果心は連れてきた少年に移り変わった。その少年が弾正だ」
「なぜ移り変わった?」
「果心曰く私の運より弾正の運の方が強いと感じたらしい。だがその時に弾正の後は戻ると言っていた」
「よし分かった。だが黙っているだけだ。その後は宗矩と話してくれ」
その時宗矩の剣が床を突き刺した。狗は肩を切られて走り出す。庭に出ると京之助達が廊下から出てくる。庭には服部の忍者が3人姿を現す。その3人に手裏剣が飛ぶ。狗はその間に塀を飛び越える。鼠が先頭を走る。草むらの中で反対側の森の中に呼び込む。