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陰謀2

 今回は順慶の家老から直接繋ぎが来た。どうも家老は京之助を避けているようだ。柳生本家の臭いに気が付いたのだろうか。指令は播州の調査だ。それで長老に下忍を3人、くノ一を2人、年寄りを2人つけて播州に送った。最近は盗賊狩りの仕事も奈良の庄屋から受けている。
「最近は弾正はどうしている?」
「やたらと文を揚羽や胡蝶に持って走らせている」
「そうだな」
 その度に蝙蝠と鼠が走っている。堺の商人に、大和周辺の豪族、将軍、公家、本願寺と忙しい。反逆の準備だ。今度は毛利を当てにしている。毛利は播州に向かって兵を進ませた。だが信長は本願寺に手を焼いていて、いよいよ秀吉を中国筋に向かわせたようだ。順慶は表では光秀に裏では秀吉に近づいている。
「これは私の勘だけど、弾正がかなり衰弱してきているの。これは果心が彼の中にあまり入らないからのような気がする。最近は果心が出かけているように思うの」
 今明智の城にはくノ一を入れた。繋ぎの年寄りもつけている。
 狐と話が終わって人夫部屋に戻ると繋ぎがある。くノ一からだ。狗は飛び出すと尾根道をかけた。光秀がお忍びで京に出たと言うのだ。寺の宿坊にいるようだ。年寄りが門前で待っている。
「誰か入ったか?」
「誰も?」
 聞くなり宿坊に入り込む。部屋の中央に光秀が座っている。その前に白髪の果心が座っている。
「果心は毛利を頼りにしているようだが、私が破る」
「それは分かった。毛利が勝てば弾正が私を毛利に引き合わせるのだ。だが弾正が破れたら私の中に入れ」
「よし分かった。柳生とは話が付いたのか?」
 弾正も光秀が宗矩に近づいているのは知っている。
「後は家康が乗ってくるかだ」

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