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次の手9

 大和の国境に入った頃から周りを囲まれている。狗とくノ一と年寄りが商人姿になっている。
「気を付けろ」
 狗が口だけを動かして伝える。前を歩いている年寄りが後ろに下がる。草むらから10人ほどの黒装束が姿を現せた。
「狗だな?」
「揚羽か?」
「姉さんの礼をさせてもらう」
 もう剣を使えるようだ。一斉に切りかかってくる。狗は転がると剣を抜いて前の2人を切り捨てる。振り向いて年寄りに迫っている黒装束に手裏剣を投げる。その瞬間に揚羽の剣が鋭く突き刺してくる。すっかり腕は繋がっているようだ。いぬは飛び下がって横から切りかかってくる黒装束を下から切り上げる。揚羽に隙ができる。狗は飛び上がると剣を切り下げる。
 その時凄い風が吹いて体ごと飛ばされる。黒い鳥が空を舞っている。空を飛ぶ果心だ。
「狗だな?」
 声が胸に響いた。その間に揚羽は飛び下がった。次の瞬間鳥が急激に下りてきて羽をはばたかせる。狗はそこに鋭い刃物が縫い込まれている。辛うじて狗の剣が弾いた。年寄りが一撃を受けて仰向けに倒れた。それを助けに入ったくノ一も両左右から突き刺されて倒れた。揚羽の一撃が狗の肩を突いた。これでは全滅だ。
 銃声が起こって鳥がもがくように羽ばたいた。次に火薬玉が弾正の忍者に投げつけられた。揚羽はすでに消えている。草むらから出てきたのは鼠だ。
「どうして襲撃が分かった」
「狐が揚羽が襲撃をする話を聞いたの」
 狐は鉄砲を持って現れる。
「離れていいのか?」
「家老に用事を言い渡されたと言うことに。でもまた助けてしまった」
と肩の傷の手当てをする。鼠は倒れている年寄りとくノ一の生死を確かめている。そして首を横に振る。

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