帝国の事情
「あの、いきなりの事で何がなんだかわからないんですが・・・・・・」
「うむ、そうだろう。事の詳細を話すと我が国の恥を話さないといけないんだが・・・・・・。我が娘である『ユーミア・ガルシア』が『ネジア王国』の王太子と婚約関係にあり来週には式をあげる予定だったのだが・・・・・・、その相手の王太子が突然失踪してしまったのだ」
はいっ!?
「向こうの国王が青ざめた顔で土下座で報告してきたのだ。私も初めての事でどう対応してよいのかわからない。ユーミアはショックで引きこもっているし娘達からは責められるし・・・・・・」
「その、失踪した理由はなんでしょうか?」
「所謂『駆け落ち』だ。昔から好きだった相手がいたらしい」
王子としてはその行動はアウトでしょ、男としては気持ちはわからない訳ではないけど。
「ユーミアは『貴族や他の王族に嫁ぎたくありません! 嫁ぐのであれば平民が良いです!』と言うし娘達からは『ユーミアの気持ちを考えてあげてっ!』と言われ・・・・・・、それならば娘の気持ちを尊重しようと思いユーミアに相応しい者を密かに調査を行った結果ルード、お主に白羽の矢が立ったのだ」
「あの、なんで僕なんでしょうか?」
「最近、付き合っていた女性を貴族に奪われたそうだな?」
うげっ!?
そんな事まで調べられていたのっ!?
まぁ、それぐらいは調べられるかぁ・・・・・・。
「人の恋人を無理矢理奪う等もっての他、貴族のあり方を勘違いしている。後々ペナルティを与える。まぁ、それが無かったとしても人柄、周囲の評判からお主が最適であると決めたのだ」
「でも、僕は無職ですよ。皇女様をお迎え出来る準備は何も無いですよ」
「それなら心配ない、支度金を用意するし新しい職場も紹介する」
確かに皇帝様の紹介だったら就職も上手くいくだろう。
「とりあえず、ユーミアに会ってもらえないか? ユーミアも待っている」
「・・・・・・わかりました」
とりあえずユーミア様に会う事にした。