秘密2
順慶に暗殺の話を入れた。その時順慶がある話を狗にした。今から一月後に順慶が北伊賀の豪族の集まりに出ると言う話だ。これはあの出城を境にする豪族たちとの攻撃の打ち合わせだ。この集まりの座長は柘植だ。だがこの柘植は服部の傘下にあるが曲者だ。狗は年寄りとくノ一を３人送り込んで調べさせた。
「やはり何かあります」
と報告を受けた。それで寄り集まりの柘植の屋敷に狗はくノ一と下忍を２人送り込んでいる。狗は順慶の小姓として屋敷に入る。もちろん順慶は百地の忍者を１０人張り付けている。見たところ怪しいものは見当たらない。豪族は７人円座に座っている。狗は刀を持って後ろに控えている。
１刻の話合いの後女達が座敷に入ってくる。この中に狗のくノ一もいる。順慶の横に艶めかしい女が座る。狗はその女にくノ一の仕草を見ていた。頭の簪が気になる。長さが普通のものより長いように見える。だが顔には何も緊張の様子がない。女が何気なく髪に手をやる。その瞬間どこからか煙玉が投げ込まれた。狗の体がほとんど無意識に飛び上がった
狗は順慶の体に覆いかぶさるように飛んだ。首筋に痛みが走った。狗も倒れざまに剣を抜いた。明らかに剣を弾かれた。あの女だ。部屋の中は騒然となった。順慶の周りに侍が取り囲んでいる。
「狗大丈夫か？」
「はい。あのくノ一はなかなかの腕です」
「やはり弾正の刺客だったか」
追いかけていたくノ一が戻ってきた。
「庭で百地の忍者が３人倒されていました。弾正の忍者が庭に潜んでいたようです」
その後狗のくノ一は口だけを動かした。どうもこの屋の主柘植が手引きしたようだと伝えた。それで狗は順慶の身も元で囁いた。順慶は侍をまとめると手早くこの屋敷を後にした。取り囲んで殺されることも考えられた。
狗はくノ一を連れて待ち合わせの場所に走った。狗は万が一を考えて年寄りと足の速いくノ一を屋敷の外に張り込ませていたのだ。道端の莚から乞食が顔を出した。
「くノ一の後を弾正の忍者が５人、鼠が今追いかけています」
