秘密1
狗が20歳になった。洞窟からその奥に屋敷を作った。洞窟には今でもお婆の仲間が5人ほど住んでいる。屋敷には今は20人ほどの下忍が住んでいる。仕事は筒井の仕事が大半だ。15歳の狐は弾正の城に奉公に出てもう2年になる。繋ぎで頭の狗がわざわざ出かける。そこで狐を抱くのだ。
筒井は昨年家老の寝がえりで出城を弾正に奪われている。これを仕掛けたのは弾正の忍者だ。とくにその際くノ一が今もその家老を操っている言う。これに対して筒井は柳生を含めた兵を2千出したが失敗に終わっている。この春には百地を30人を送ったが一人も戻っていない。
狗はいつもの天井裏から狐の部屋に入る。ここには同じ年代の女中が4人いる。狗が来る合図の日は狐はみんなに眠り薬を飲ませる。あの事件に加わった年寄りがそのまま城の蔵番になっている。報告は狐から年寄りを通じて伝わる。
「入って?」
部屋に降りるとすぐ布団を被される。全裸の狐に羽交い絞めにされる。普通ならこの技で絞め殺すこともできる。1刻ほど狗を翻弄する。
「足利義輝を殺した女は実は今出城にいるくノ一なの。このくノ一は弾正の忍者の実の妹で弾正の愛妾の一人でもあったと言われている。弾正の忍者の姉妹は4人いて、1人は3番目の妹で獅子の女ですでに死んでいる。このくノ一は次女でくノ一では一番の凄腕よ。弾正がこのくノ一揚羽に順慶暗殺を指示したのよ」
「筒井には知らせよう」
「それと天守閣のもう一つの部屋はあるようだわ。これは警護の侍が言っていた。茶室があるようだけど、もう一つ噂があるの。この部屋に人が住んでいると言うの」
「警護の忍者じゃ?」
「ミイラのような修験者が目撃されている」
「それがあのくノ一の怪しものかもな?」
「調べて見る」