バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

空洞

 3日後次長から呼び出しを受けて、支店長室に来るように告げられた。自己都合で辞めた元従業員と連絡がついて、経理の担当は今の支店長の不倫相手だと知らされた。やはり不正に係っているのは私の目を付けた5人だろう。だが頭取との繋がりが分からない。それについては検査部長にそれぞれの経歴を調べてもらうように頼んでいるが回答はない。
「異議申し立ては?」
「ビデオテープです」
「了解しました。私は1時検査部調査役でもあったのですよ。今年3月末で定年退職です。最後の仕事になりますね」
 話はそれだけで後は被害者と次長と経理主任の入念な面接をして最終便で帰って行った。私はその間支店長室で軟禁された格好だ。
 11時半やはりぽろんのドアを押した。恋してると言うのではなく寂しい者同士の温かみがあるのだろう。リエとはこすり合えば安心できた。その後何人かと付き合ったが肉体的な興味はどんどん薄れて行った。ぽろんとはお互いの空洞に何かを埋める作業をしているようだ。
「どう?」
 ぽろんもパワハラを気にしてくれていたようだ。きょうも小瓶とポールウインナーだ。
「何とかなりそうだ」
「乾杯ね」
 今日は赤いカーネンションなしの赤いタオルが投げ込まれた。もうクローズのカードが掛けられ鍵のかかる音がする。
「3本は空けてから部屋に行こう。あなたは久しぶりに肌が合うわ」

しおり