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失神

古木さんに案内されたのは街外れにある教会だった。建物は壁の近くにポツンと建っていた。

周囲には何もなく、がらんとした広場の中にそれはあった。

教会を訪れたのは今回が初めてだった。芹沢が言っていた異世界教のものだろう。ここに秘密通路があるのだろうか。

古木さんは勝手にドアを開けて、中に入った。教会を管理している人はいないのだろうか。そんなことを思いながらおれも後に続いた。

長椅子に挟まれた通路がまっすぐに伸びている。その向こうに祭壇のような場所があり、古木さんはその裏手の方に回った。

祭壇と後方のステンドグラスの間にある狭いエリアの床の一部がずれていて、そこから下に通じる階段が続いていた。

「この先にダンジョンがあるんですか?」

おれは階段を覗き込んで聞いた。

「そうだよ。入ってみたらどうかな」

この通路には灯りというものは見当たらなかった。少し先も見えないくらいに真っ暗で、スマホだけでは心許ない。

「懐中電灯とかはないんですか?」

そう聞いたとき、妙な物音が耳に届いた。人のうめき声のような感じがした。

祭壇の手前には両脇に通路が伸びている。その先にはそれぞれドアが設置されている。入り口に向かって右手の方からその声は聞こえた。

おれはそちらへと向かった。

ドアを開けると、血だらけの男性がそこにはいた。こちらに向かってうつ伏せで倒れていた。

かろうじて息があり、何かをしゃべろうとしていることがわかった。

「ど、どうしたんですか」

その頭が突然吹き飛んだとき、おれは背後に人の気配すら感じてはいなかった。

何が起こったのかもわからないままに振り向くと、そこにはハンドガンを持った古木さんがいた。

「なかなかしぶといものだね。確実に仕留めたと思ったんだが、さすが秘密通路を守っているだけはある」

「な、なぜ撃ったんですか」

「敵だからだよ」

「敵?」

「説明をしてあげよう」

そう言って、古木さんはハンドガンを振り上げた。

「外に出てからね」

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