17 名もなき村
「差し当たり……咎人に覚醒して処刑宣告されそれで逃げてきた……ってところじゃろ?」
清空がそういうとミソノがうなずく。
「そうです」
「そうか……
村の名前は?」
「ありません」
「名前がないの?そんな村あるの?」
シエラが驚く。
「テオスの息がかかった村なのならありうる」
玉藻がそういってメガネを上にあげる。
「テオス……?」
カナタが首を傾げる。
「神さまを崇拝している村……だったってこと?」
亜金が玉藻の目を見る。
「そういえば神さまにカナタくんが殺されるっていってた」
「時間をある程度設け処刑日時を決められた……とかじゃないか?」
「そうです!」
「それはカナタくんをテオスの幹部に殺させるためさ。
テオスは咎人を殺すことで大量に経験値を得ることができる」
玉藻がそういうとため息交じりにそういった。
「私たちをテオスに差し出すのですか?」
「どうしてそんなことをせねばならない?」
「え?」
ミソノが驚く。
「そんな驚くことでもない。
ここはテオスが支配下に置く街じゃない。
どちらかというと私たちはテオスの敵じゃ」
「そうだよ」
シエラがそっという。
「君たちはその村から出てどれくらい経ったの?」
「7日です」
「もしかしてと思ったが6日前……
テオスが支配下に置く村が潰された。
それと関係しているか?」
「村が潰された?」
ミソノの顔に不安が走る。
「うん。
潰されたよ。ガイルって人食いモンスターによってね」
シエラの声が低く響く。
「行ってみたほうがいいんじゃないか?」
焔が優しい口調で尋ねる。
「でも……」
「私たちが同行する。
大丈夫だったら大丈夫でそっと離れるだけでいい。
主らの心のけじめのため行ってみないか?」
「……行きます」
「え?カナタくん?」
ミソノがカナタの顔を見る。
「行ったほうがいい。
お父さんやお母さんの安否きになるでしょう?」
「うん」
「よし!決まりだ!行くぞ!
シエラ、馬の用意を頼んだ」
「はい!先生!」
シエラは元気よく返事をした。