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反応が来ました

 手紙を出してから一週間が経過しました。
 その間、私は修道院の修理に汗を流していました。
「そろそろ、反応が来ても良い頃なんだけど、私の悪評のせいで無視されてるんじゃないかしら? もしくはここの住所がわからない、とか。」
 ちょっと不安もありながらも私は今出来る事をやっていました。
 ある日、外掃除をやっていた時、遠くから馬車がやってくる音が聞こえました。
 この修道院に来て初めて乗り物を見たような気がする。
 馬車は私の目の前で止まりました。
 馬車の扉が開き、20代の身なりの良い男性が降りてきました。
 内心、ちょっとカッコいいと思ったのは内緒です。
「貴女がキャロル嬢ですか?」
「えぇ、私ですけど?」
「はじめまして、僕は『トーマス・ハニスター』と言います。」
 こ、この人がハニスター公爵っ!?
 思っていたイメージと全然違うっ!?
 若いし優しそうだしキラキラしてるし……。
 もっと、歳を取った意地悪そうなおじさんが出てくると思っていた。
「わざわざ来ていただいて申し訳ありません。手紙さえ出していただければ私の方からはせ参じたのに……。」
「いえいえ、修道院の現状をこの目で見たかったので……、しかし本当に何というかボロボロですね。」
「これでも、一応綺麗にしたんですが。」
「貴女1人でですか?」
「えぇ、私こういうのは結構得意でして。」
 まぁ、驚かれるのは無理もない、貴族令嬢なんて自分でアレコレやるなんて普通は無いのだから。
 だから、庶民に『生活能力が無い』とか色々陰口を言われる。
「そうですか……、王都から来る噂とは全然違いますね。」
「あら、やっぱり私の悪い噂がこちらにも届いていましたか。」
「えぇ、まぁ……。でも、手紙の内容で貴女が世間から言われている様な人物ではない、となんとなく思っていましたから。」
 第一印象は良いみたいで安心した。
「この修道院をこのような状態にしてしまったのは……、我が父の愚業のせいなんです。」
「愚業?ですか。」
「えぇ、情けない話僕は貴方からの手紙を読んで初めて今回の件を知りました。それで父の側近だった者に話を聞いて愚業が明らかになったんです。」
「その愚業と言うのはどういう物だったんでしょうか?」
「我が父、前公爵はこの修道院に入るはずの支援金をネコババしていたのです。」
 ……はい?

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