ちょいﾎﾗｰｼｮｰﾄ
ね
ぇ
し
っ
てる？
ゆ
う
れ
いは
は
い
ご
には
い
な
い
ん
だよ？
ゆ
う
れ
いは
う
しろ
ま
う
えに
い
る
んだ
彼女との出会いは、ちょうど1年前の梅雨の時期。
その日は今日の日のように雨が降っていた。
出逢ったばかりの彼女は、まるで人形のようで……。
物静かで優しくそしてどこか暖かい。
そんな女の子に恋心を抱くのにさほど時間はかからなかった。
考えるのは毎日。
思うのも毎日。
僕の頭は、彼女のことばかり。
だから、勇気を出して……
今までにない勇気を振り絞って僕は、彼女に告白した。
すると彼女は、僕の告白をあっさりと受け入れてくれた。
「ずっと一緒にいること」
それが、彼女が出した僕への条件だった。
楽しい夏がはじまる。
楽しい思い出がはじまる。
だけど、そんな僕の思いとは、裏腹に彼女は僕の前から姿を消した。
初めての恋。
遅すぎた初恋。
初恋は、叶わぬモノ。
そうわかっていても心で理解するのには時間が、必要だった。
なんとか立ち直りかけたのに彼女から一本の電話が携帯に掛かってくる。
「ねぇ、今どこにいるの？」
「今、家にいるよ？」
ツーツーツー
電話が切れる。
今になってどうしたんだろう？
次の日も、その次の日も、彼女から電話があった。
「ねぇ、今どこにいるの？」
たったその一言。
それだけを言い残し電話が切れる。
胸騒ぎがした。
彼女の名前と連絡先。
そして、写真を持って警察に向かった。
すると警察の人が、不思議そうに首を傾げる。
「あれ？
この方、先月に自殺しているわよ？」
僕は、耳を疑った。
「でも、昨日……
彼女から電話があったんです」
「誰かのいたずらじゃないかしら？」
警察の人は、そう言って苦笑いを浮かべた。
僕は、ショックを受けた。
誰もいない家に帰り、洗面所で顔を洗う。
携帯が鳴る。
彼女からだった。
「ねぇ、今どこにいるの？」
「いいかげんにしろ！
君は、誰なんだ！」
ツーツーツー
電話が切れる。
僕は、背後が気になって振り向いた。
誰も居ない。
前を向く前に、ふと視線が気になった。
上……
そう視線は、背後ではなく上から感じた。
僕は、ゆっくりと視線を上に上げる。
するとそこには、彼女がいた。
優しく微笑む彼女……
そして、彼女の手が僕の首を締める。
僕の意識が遠くなる……
薄れゆく意識の中、激しい雨音とともに彼女が声が耳の中に入ってくる。
「ずっと一緒だよ」
