vs, ……え? Round.3
「ハァハァ……ししし死ぬかと思った」
後部座席へと回収された途端、涙目で
ブルマ姿での内股ヘタリ込みが妙にエロいな。肢体の発育がいいだけに。
「
「貴様! しゃあしゃあと何事も無かったように進展させるな!」
「
「おおお教えてやろう!」
一転して恐々と承諾した。
うわぁ、拷問のプロフェッショナルだぁ……クルロリ、恐ろしい
「で、シノブン?」
「……シノブンやめい」
フレンドリーに努めるも、無下に応対される。
「ボクを捕らえて、キミは何がしたかったのさ?」
「貴様の〈ベガゲノム〉を解明する
「〈ベガゲノム〉なら、
「やはり認識していないようだな、ラムスとやら。
ああ、そっか。
確かクルロリが、そんな事を言ってたっけ。
「つまり、目的は〈エムセル〉そのもの──それを解析するために、
「ですが解析して、どうしますの? 第三種四価元素が備わっていない以上〈エムセル〉の再現は不可能。どう
「
「じゃあ、人間社会へと潜伏して、地球侵略の足掛かりにしようと
「そんな
ああ、そりゃそうか。
現行科学常識を
「じゃあ、キミの目的は地球侵略じゃないの?」
「誰が! いつ! 侵略目的だと言った!」
記憶を掘り返してみる──確かに、これまで『侵略』なんて一言も言ってないや。
シノブンに限っては……だけど。
「ってか、紛らわしいんだよ! キミの言動は! あんなに悪役然とされたら誤解するだろ!」
「勝手に誤解をしたのは貴様達だ!」
「じゃあ、目的は何さ!」
「私とて歩いてみたいのだ……渋谷とやらを」
「はい?」「ふぇ?」
予想外の独白を受け、間抜けた声をユニゾった。クルロリを除く二名が。
「ほほほ他にも〝ジェラート〟とやらを食してみたいし〝マルキュー〟とやらにも行ってみたい。それから〝スクィーズ〟とやらも欲しいし……それから……」
真っ赤になって吐露し続ける。
「勝手に行けばいいだろ! 渋谷でも秋葉でも!」
「私は、人間形態になれんのだ!」
……うん?
「なれないの?」
「そ……そうだ」
「人間形態に?」
「そうだと言っている!」
ボク達のやりとりを
「確かに、総ての〈ベガ〉が〝人間形態〟になれるわけではありませんけれど……」
「元々、変幻自在な〈ブロブ〉には分かるまい……この
「シノブンってば、
「……地球人だ」
「じゃあ、何で〝人間形態〟へ戻れないのさ?」
「だから、腹立たしいと言うのだ! 貴様は! 自分が
「他に『蒸 ● 』もあるでよ?
「知らんわッ!」
サムズアップでボケたら、烈火の
「幼少の頃から〈
うっすらと
「つまり、こういう事? 普通の女子みたいに日常を楽しみたいけれど〈ベガ〉の異形性がネックで叶わない。だから、ボクの〈エムセル〉を解析して、その変身性質を手に入れたかった──って?」
「そ……そうだ」気まずそうに視線を
「
「わ……笑いたくば笑え!」
「別に笑わないよ?」
「何?」
意表を突かれ、シノブンは驚きを見せた。
「流行やプレイスポットって、やっぱ気になるもんね?」
「
「仮に〈ベガ〉だって同じだよ。楽しいものはやってみたいし、話題のスウィーツなら食べてみたい。可愛いものには萌えたいし、下らない雑談をするダベり場だって欲しい」
そう断言して〝メイドベガ〟を見た。
視線に気付いて、彼女は軽い
それは無言の肯定だ。
「結局〝地球人〟だ〈ベガ〉だ言っても、ガールズライフは宇宙共通マストって事だね♪ 」
満面の楽観笑顔で「てやっ ♪ 」とばかりにサムズアップ!
「理解不能」
クルロリは無表情ながらも、腑に落ちない様子だった。
「ねえ、クルロリ? キミなら〝エムセル解析〟って出来るんじゃない? 作り主なんだし?」
「確かに〈エムセル〉は、私が改造生成した特殊細胞ではある。けれど、解析応用の可能性は未知数」
「ふぇ? 何故さ?」
「大前提として〈アートル〉と〈モスマン〉では〈ベムゲノム〉が異なるから。
「……簡単に言って?」
「出来ないかもしれない」
うん、シンプル・イズ・ベスト!
小難しい
「ただしジャイーヴァが
「って事は?」
「擬似技術での代用なら容易と思える」
「うん、それでいいよ」
ボク達のやりとりを聞いていたシノブンが、
「貴様、何を言っている?」
「いや、だから協力するよ」
「何?」
「だって、そうすりゃシノブンも渋ブラできるんでしょ?」
「貴様、正気か? 私は〝敵〟だぞ!」
「敵じゃないよ?」
あっけらかんとした返答に、一瞬、シノブンは言葉を呑んだ。
そして、ややあって含み笑いを飾る。
「クックックッ……いいのか? これをきっかけに──私が〈エムセル解析情報〉を得た事によって、変身能力を得た〈ベガ〉が人間社会へと
「またまたぁ~? 照れ隠しに悪ぶってぇ~ ♪ 」
「うううるさい! どうして貴様は……そうやって毒気を削ぐ……」
何て言ったかは聞き取れんけど。
「それに平気だよぉ? 地球侵略しようって
「う……それは……」さすがに、
「あ! でもさぁ、シノブン?」
「……シノブンやめろ」
そこは頑として譲らないんだな。
でも、いつもより語気が柔らかい。
何故だろう?
何故かしら?
ま、いいや。
「一応、ひとつだけ約束してよ? エムセルの解析データはキミだけの秘密にして、他の〈ベガ〉には流通させない……って。ボクだって、戦闘頻度上がってJKライフ阻害されるのヤダもん」
「う……うむ」
戸惑いながらも瞳は真っ直ぐだ。
だから、そこに嘘はない。
「マドカ様らしいと言えば、それまでですけれど」
意味深含んだ
その
「ああ、前代未聞の馬鹿だな……コイツは」
「ええ。この前代未聞のおバカ者が〝
「いま何つったーーッ! この豊乳メイドーーッ!」
「さて?」
ペロッと舌出し。
毎度ながらの
「幸せ者だよ……オマエは」