vs, フラモン Round.3
屋上にて数時間経過──。
フラモンは飽きずに、すってんころりんを続けている。
「で、どうしますの? このまま
「ラムス、食べちゃえば?」
サラリと提案したら、恨めしそうな視線が返ってきた。
「
「鉄分豊富」
「……その
「でもさ、ボクの事は食べようとしたじゃんか?」
「食べようとしたのではなく、単に
「ああ、ガムみたいに」
「ええ、ガムみたいに」
「
「御自分で比喩なされたんじゃありませんか」
「んじゃ、それでいいよ! ラムス、や~~っておしまい!」
「どうしましたの? 急に奇妙な口調で? 何か悪い物でも拾い食いされました?」
「もう! そこは『アラホラサッサ!』と敬礼しなきゃ!」
「……知りませんわよ、バカ」
ってか最後、何か言わなかったかしら?
「ああッ? 冷たい! ジュンと違って冷たい! ツッコミすら無い!」
すると、
「まあ、星河様はスゴイですわねえ? こんな
……ラムス、それ
何回『バカ』って織り混ぜたか知らないけど、とりあえず、これだけは指摘しておこう。
「最後、何て言ったーーッ!」
「さて?」
オイ、ペロッと舌出してしてそっぽ向くな。
この
「もう! とにかく、さっさと食べちゃってよ!」
「で・す・か・ら! 無理ですわよ!」
「何でさ?」
「
「食べるに決まってるじゃん」
「……はい?」
「超お得だよ? それ?」
「ハァ……
「何だよぅ? その
進展の見えない押し問答が続く中、フラモンがすってんころりんをやめた。
内股に座り込んでジッとする様は、途方に暮れて
そして──!
「ふ……ふぇぇぇ~~ん!」
泣き出したし。
デッカイ図体して、子供みたいに泣き出したし。
ってか、大音量でウルサッ!
「ふぇぇぇええん! ふぇぇぇええん! えぐっえぐっ……ふぇぇぇええん! ふぇぇ……げほっげほっ!」
泣き過ぎて
ってか、さっきまでカタコト電子ヴォイスだったろ! オマエ!
まったく、何なんだコイツは?
「あらあら、泣かせてしまいましたわね?」
「う……うん……泣かせちゃったね」
「どうしますの? マドカ様?」
「いや、どうするって言われても……どうしよう?」
心底困惑した。
そりゃそうだ。
こんな展開、誰も予想してないよ?
「マドカちゃんがイジメるぅ~~! うわ~~ん!」
あのバカッ!
何をおおっぴらに名指ししてんのさ!
「マドカ? 誰?」「もしかして、あのセーラー服アンドロイドの名前かな?」「確かに、ちょっとやりすぎかもな」「限度が分かってないんだよなぁ~限度が……」
ほら見ろ!
校内中が騒然となったじゃんか!
ってか〝
「あれ? そう言えば、ウチのクラスのマドカっち、いなくね?」「え? 巻き込まれた?」
一部が気付きだした。
「ウチらのグループは、あんま交流無かったけどさ? 憎めないヤツだったよな……」「うん、騒がしかったけどね……」「マドカっち、成仏してよね……南無南無」
死亡説まで出始めたしッ?
ってか、オマエら! 諦めんの早過ぎッ!
「えぐっえぐっ……マドカちゃんが……マドカちゃんが……うわ~~ん!」
「
ボクはわざと絶叫し、強引な方向修正を
「え? マッド母ちゃん?」「お母さんに怒られたって事?」「ってかさ? 母ちゃんがマッドって事は、DVって事じゃね?」「あの子、可哀想かも……」「マドカっち、成仏してよね……南無南無」
うしっ! 作戦成功!
そして、最後のヤツ! 後日、絶対に探し出す!
「ひっく……ひっく……」
フラモン、ゲンコツで涙
「ったく! しょうがないなあ!」
頭をボリボリ
「あら? 行きますの?」
動向を察したラムスが、分かっていながら声を掛けてきた。
「だって、ほっとくワケにもいかないじゃん。泣いてるんだし」
その返答を聞いて、ラムスは「クスッ」と
「どこまでも……ですわね」
「ふぇ? 何がさ? どっかの線路? それとも『スー ● ー戦隊』のシリーズ数?」
「さて?」
またはぐらかしたな、
ともかくボクは、
もちろん、向かうのはフラモンのトコ。
ツカツカと歩む中で──ずごしっ──後頭部に投擲攻撃が命中して撃沈……。
「誰だーーッ! ボクにゴミ箱投げつけたのはーーッ!」
ガバッと復活して校舎陣営に猛抗議!
すると、
「これ以上イジメるなーーッ!」「可哀想じゃないッ!」「少しは反省しろーーッ!」
「アブねッ! アブねッ!」
目についた物を片っ端から投げてくる!
ゴミ箱──黒板消し──掃除バケツ──机──イス──鉄アレイ──────鉄アレイッッッ?
「おぶんッ!」
顔面直撃!
「オマエらーーッ! どういう了見だーーッ!」
「いい加減、許してやれよ!」「そうよ! 泣いてるじゃない!」「オマエには血も涙も無いのか!」「鬼! 悪魔! セーラーウ ● トラマン!」
……ブーイングの嵐だし。
完全にアウェイ化してるし。
掌返しだし。
ってか最後のヤツ、武内 ● 子先生と円 ● プロに謝れ!
「別に取って食うワケじゃないよッ! 話を聞くだけだよッ!」
「あ、そうなん?」「何だ? じゃあ、いいよ」「さっさと帰ってもらってよね」
……やっぱ現金なのな、
ともかく、ボクは気を取り直してフラモンの前まで歩き進んだ。