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第16話:スラ君(仮)の冥福を…

 さて‥‥‥ペットも出来たことだし、狩りを再開するか。再開と言っても、まずは獲物を見つけるところから始めないといけない。はあ‥‥‥面倒だな~。

 俺はそう思いながら探索を開始した。暫く歩いてからふと、後ろを振り返るとそこには誰もいなかった‥‥‥。えっ!?スラ君(仮)は?何処に行った?俺はスラ君(仮)を探すため、スラ君(仮)と会った場所に戻った。

 何度も迷いながら元の場所に戻れた。この場所‥‥‥見た目が殆ど同じだから戻るのに苦労する‥‥‥。そしてあと100mくらい離れたところでスラ君(仮)を見つけた。
 やっとスラ君(仮)を見つけた安心感からか、俺は走り出した。しかし、あと50mくらいのところでスラ君(仮)が横から現れたモンスターに()()()()

ーーその光景を見た俺は全力で駆け出した。全力で駆け出したが、50mくらい離れたところから一気に距離を詰めれるわけもなく、一定の距離を保った鬼ごっこになった。逃げられると思って焦った俺は気がつくと【身体強化】と唱えていた。

 【身体強化】が発動した効果か、俺の体が文字通り、()()()()()()。飛んだーーといっても走った反動で飛んでいるようなものだ。それでも飛んだせいか、あれほど離れていた距離が瞬く間にーー体感で2秒くらいーー追いつき、追い越した。

 えっ?やべぇ、追い越してしまった!!俺はこれ以上追い越すことがないようにと、踏ん張った。そのせいで大量の土煙が発生して俺の姿が隠れた。

 俺は後ろに方向転換して、こちらに向かってくるモンスター目掛けて爪を突き刺した。突き刺さったところで止まれたら良かったが当然、いきなり止まれるわけもなくモンスターは自ら、前に向かって走り絶命した。
 絶命したあと、モンスターは暫く走ってからバタンと倒れた。顔面からしっぽまで、体の外から体の内側が見えるくらいの穴が開いたまま。

 もちろん、咥えられていたスラ君(仮)に当たらないように顔面に突き刺したが。

 そんなことより、スラ君(仮)は生きてるのか!?俺は急いでモンスターが死んだ場所に向かった。

 そこについて俺が見た光景はーーモンスターの体重に押しつぶされてぺちゃんこになったスラ君(仮)だった‥‥‥あの丸くて愛らしい姿は何処にも無かった‥‥‥。

 くそっ!!もっと、しっかり後ろを見ていれば‥‥‥どれほど後悔してもスラ君(仮)は還って来ない‥‥‥。

ーー俺は目を閉じて手を合わせて、スラ君(仮)の冥福を祈った。

『短い時間だったけど‥‥‥ここまで悲しいとは‥‥‥』

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