第17話:生きていたスラ君
俺が目を閉じ両手を合わせてスラ君(仮)の冥福を祈っていると、足の辺りがひんやりと冷たくなった。それに‥‥‥少しくすぐったい‥‥‥。
「んしょんしょ、ふーくるしかった~なの」
遂にはスラ君の幻聴すら聞こえる‥‥‥しかし、やけに近くから聞こえる。そう、丁度俺の目の前くらいの位置から。俺はスラ君が生きているという一縷の望みをかけて目を開けた。まあ、実際はそんなことあり得ーー
「どらごんしゃん‥‥‥?どうしたの?なにしているの?」
ーーた。そこにはぷるんぷるんボディーのスラ君(仮)が‥‥‥居た。
「あれぇ?どうしてないてるの、どらごんしゃん」
え‥‥‥?スラ‥‥‥君?えっ?ペチャンコに潰れて死んだんじゃ‥‥‥えっ!どういうことだ?
なんで生きているかわからないけど‥‥‥生きていたから良しとしよう‥‥‥。
「なんでもないよ‥‥‥なんでも‥‥‥」
「うーん‥‥‥よくわからないけどなかないでなの、どらごんしゃん」
そう言ってスラ君はビクつきながらも俺に近付き、手(?)みたいな触手(?)を伸ばしてハグしようとしてきた。俺はそんなスラ君を傷つけないように優しく水を掬うように抱き上げた。
抱き上げられスラ君は驚いたが手を伸ばして抱きついてきた。
俺は暫くその体勢で抱かれていたが、流石に手を上げておくのに疲れて、スラ君をゆっくりと下ろした。
スラ君を下ろした時、『ぐぅぅぅ~』という音が何処からか響いた。
俺は腹が減ってるけど‥‥‥さっき食べたからまだ持つはずだから‥‥‥今のは‥‥‥スラ君?
そう思ってスラ君を見ると、少し肌ーースライム肌を紅潮させた。どうやら、今の音を響かせたのはスラ君の腹の虫のようだ。そして、恥ずかしかったらしい。
「あー‥‥‥オレモハラヘッタナー、アッ、アソコニオイシソウナニクガー‥‥‥」
棒読みにも程があるレベルで俺は演技した‥‥‥下手くそすぎる。これだと、さらに意識させてしまうな‥‥‥。
「う、うん。ボクもたべたいの‥‥‥」
スラ君は俺の下手くそな演技に乗ってくれた。
「じゃあ、一緒に食べようよ」
俺はスラ君と一緒に倒したモンスターに近づいてそのモンスターを食べた。