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第15話:ペット

暫く歩いて見つけたのはーー魔素生物(スライム)だった。はあ‥‥‥また魔素生物(スライム)かよ‥‥‥大して旨味もない雑魚だけど、経験値を貯めるのには役に立ちそうだな。

そう思って俺は魔素生物(スライム)に近づき手を大きくあげて攻撃の準備をした。すると、何処からともなく声が聞こえた。

「うう‥‥‥しにたくないの‥‥‥だれか、たすけてほしいの‥‥‥」

助けを願う声の出どころが気になった俺は周りを見渡した‥‥‥しかし、どれだけ周りを見ても周辺には生き物はおろか、虫の一匹すらいない。
今のは何だったんだ‥‥‥。俺は気を取り直して再度、攻撃の準備をした。すると、また何処からともなく声か聞こえた。

今度は注意深く耳をすませて声の出どころを探すとーーなんと、それは魔素生物( スライム)の声だった‥‥‥。『灯台下暗し』だな‥‥‥。

俺は声が通じるかわからないが何故か、声を掛けてみようと思った。

「どうしたの?」

俺の声が聞こえたのか、魔素生物(スライム)は俺を見上げてーーたような気がしたーー話した。

「ころさないでほしいの‥‥‥まだ、しにたくないの‥‥‥たすけてほしいの‥‥‥」

やだ、なにこの可愛いモンスター(生き物)は‥‥‥。俺がそう思うと今更だが、罪悪感が湧いた。
流石に()()()を殺すのは‥‥‥遠慮したいな。

見逃すのもいいけど‥‥‥()()()に欲しいな‥‥‥そうだ!!

「殺さないけど、代わりに()()()になってよ」

随分と汚い手段だが、この魔素生物(スライム)以外はあまり可愛いと思えない‥‥‥今このモンスター()を逃したら二度と会えない気がする。それに俺が見てないところで他のモンスターに喰われるのも夢見が悪い‥‥‥これも何かの縁だ。

「こ‥‥‥ころさないの‥‥‥?」
「殺さないよ、ペットになれば」
「う‥‥‥うん。ぺっとになるの‥‥‥だから、ころさないでほしいの‥‥‥」

よし!!言質はとった。俺がそう思って喜んでいると、機械的なアナウンスが脳内に響いた。

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個体名『-』種族名『魔素生物(スライム)』を((命を脅す卑怯な方法で))テイムしました。
スキル:【テイムLv:1】を獲得しました。
ーーーーー

あれ?今のでスキルを獲得したのか?スキルって結構簡単に獲得出来るんだ‥‥‥。

「よろしくね」
「‥‥‥」

あれ?『スラ君(仮)』が黙ったままだ‥‥‥。あ、『スラ君(仮)』というのは便宜上の仮名だ。流石にずっと魔素生物(スライム)だと‥‥‥ね。
それに俺にネーミングセンスはない‥‥‥ひどい名前しか思いつかないから便宜上の仮名でいいだろ‥‥‥。

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