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 人が多い。店がたくさん。活気がある。熱気も。
 これだけたくさんの人々が行きかって、お店がたくさんあれば、いろいろと欲しいものが見つかるかもしれない!
「どこを見て回りましょう?」
 ブライス君が私の顔を見た。
 もちろん、食料品!と答えようと思ったけど、カーツ君もキリカちゃんもソワソワとしている。
「カーツ君とキリカちゃんはどこへ行きたいの?」
 もちろん、そんなの、小さい子優先ですからね。
「俺、武器見たい!」
「キリカは布が見たいのよ!」
「ブライス君は?」
 そうそう、私は三十路ですし。ブライス君より年上ですからね。私の希望が最後で構いません。
「僕は……とくには。ああ、そうでした。本屋で、解呪の魔法に関する本がないか探してみたいですね」
「本屋!私も行きたい!」
 そういえば、ローファスさんから本を貸してもらう予定だった。お屋敷に帰ったら、リリアンヌ様に尋ねてみようかな?図々しいかな?
「では、武器、布、本と順にみていきましょうか」
 うん。あ、食料品は、そのあとでいいか。
 武器屋に行く。
「おい、お前、それ見せてみろ!」
 武器を見ていると、店主の男がカーツ君の短剣に手を伸ばした。
「何するんだよっ!」
 突然手を伸ばされて、カーツ君が後ろに飛びのく。
「ああ、すまん、驚かせちまったな。いいから、見せてみろ」
 カーツ君がどうしようかとブライス君の顔を見た。
 ブライス君が小さく頷く。
 カーツ君が短剣を店主に見せると、店主は大きく頷いた。
「やっぱり!これ、ハンノマさんの作った短剣じゃないか!坊主、お前小さいのに、よく売ってもらえたな」
 え?
 ハンノマさん、あの町だけじゃなくて、ここでも有名なの?
「悪いが坊主、どんなに探しても、この店には……いや、王都の武器屋のどこにもそれ以上の武器は売ってないぞ?」
「え?まじで?」
「ああ。付与魔法が付いていない短剣ではそれが一番だろう。付与魔法付きならば、その剣よりいいものもあるだろうがな」
 付与魔法つきの剣?
「それよりも良い剣はハンノマ本人か、バンルカさんくらいしか打ち出せないだろう。しかし、ドワーフは気まぐれで気難しいから気が向いたときにしか武器を作らないし、気に入った者にしか売らないからね……。それにしても、よく……売ってもらえたなぁ……」
 そうなんだ。
 ハンノマさんに武器を売ってもらえたのはとてもありがたいことだったんですね。
「ユーリ姉ちゃんのおかげだよな」
「そうなのよー。ユーリお姉ちゃんがシンデレラだったからなのよ」
 うっ。
 思い出してしまった。
 靴の匂い嗅がれたこと……。キリカちゃん、忘れてくださいません?
「ほう、もしかして、この弱そうな嬢ちゃんが一流の剣士だったりするわけか?」
 ち、違います。
「いえ、その……」
 後ずさる。
「違うのよ、ユーリお姉ちゃんは転んで靴が脱げたのよ?」
 店主とブライス君が首を傾げた。
「はい、私、あの、ハンノマさんのお店で転んで、靴が脱げて、それでえーっと……」
 店主が頷いた。
「ああ、なるほどな。怒鳴られて驚いてしりもちでもついたんだろう?」
 まぁ、似たような物ですね。
「文字が読めないので、お店の前の張り紙が読めなくて……」
 やっぱりと店主が頷く。
「あのね、ちゃんとユーリお姉ちゃん謝ったのよ。それから、キリカもカーツお兄ちゃんも誤ったの。ごめんなさいって」
 店主が一人で話を作り出した。
「なるほどな。わざとじゃないのに子供を怒鳴りつけ、転ばせたことを悪いと思って武器を売ってあげたってことか。ラッキーだったなぁ。まぁ、とにかく、これ以上の品はなかなか手に入らないから、大切にするんだぞ」
 店を後にしてブライス君がカーツ君に問いかけた。
「どうします、カーツ君。まだ武器屋を見ますか?」
「うーん、どうしようかな。今はまだ長剣使えないし、しばらくは必要ないからなぁ……」
「キリカも、このナイフでいいのよ」


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ハンノマさん、すごい人、ユーリ、覚えた

(´◉◞౪◟◉)

ところで、なろう版ではハンノマの旅を掲載中です。
ハンノマさん素敵!と思ったそこのあなた!

12月10日発売予定のハズレポーション2巻では、ハンノマさんの番外編が読めるよ!
坊主(ローファス)とハンノマさんの攻防が楽しいよ。

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