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205 呪い装備

 ……。
 取れない……。
「あ!ユーリさんっ!」
 ブライス君が青ざめている。
「呪いの品は、持ち主が死ぬか呪いが解けるまで、身に着けたら最後……」
「「「え」」」
 私、キリカちゃん、カーツ君が同時に驚きの声を上げる。
「あ、キリカ、キリカが……ごめんなさいなの、ユーリお姉ちゃんっ!」
「ブライス兄ちゃん、呪いはどうやれば解けるんだ?」
 えっと。
 結婚できない呪い?
 もう、結婚してる場合は、どうなるんだろう?離婚できる?
 離婚はむしろ、できるなら今すぐにでもしたいくらいです。あの子たちのためにも……。
「キリカちゃん、大丈夫よ。私、結婚しないから」
 ブライス君が慌てる。
「何を言っているんですか、僕が必ず呪いを解く方法を見つけます。解呪の魔法があると聞いたことがあります。きっと、どこかに解呪の魔法を知っている人間がいるはずですっ!」
「あのねブライス君、本当に大丈夫だからね?キリカちゃんも。これ、私から離れないんだって。こんなに綺麗な宝石。ローファスさんも、離れないのに返せなんて言わないよね?カーツ君、私に似合うって言ってくれたよね?ずっとしていられるんだって。嬉しい」
 ブライス君が首を横に振る。
「だめです。ユーリさん。ユーリさんが結婚できないと、僕が……僕は……」
 いや、だから、ブライス君とも結婚しないからね?
「あ、そうだ。防御能力が高いって言ってたよね?ステータスオープン、うわっ!すごいよ!防御力開示」
 今日はまだ、補正値が倍になるハズレポーション類は口にしていない。
「防御力の補正値が、620……」
 あのすごいハンノマ印の包丁の攻撃力が200くらいだったんだから、この620ってきっとすごいよねと思ったら、ブライス君が絶句するくらいすごいんだ。
「すげー、ユーリ姉ちゃん!もしかして、ローファスさんにも切れないんじゃないか?」
「いえ、残念ながらそこまでではないと思います。が、B級冒険者まででユーリさんに傷をつけられる人はいないかもしれません」
「すごいのよ!A級以上ってことなの!」
 えーっと、防御力だけならってことですね。はい。
 むしろ、相手の攻撃をよけるなんてことが圧倒的に無理そうなので、攻撃に耐えられるのはありがたいです……。鎧みたいな重たいものを装備せずにすんで、さらにラッキー。
 しかも、誰かに盗まれる心配もしなくていい。
 おまけに、知らない間に誰かと結婚して重婚という犯罪を犯すなんて恐れもなくなったとか……。オシャレだし。えへへへ。
「すごい。いいことばっかりだ。嬉しい!」
 ブライス君が私の笑顔を見て、ふっとほほ笑んだ。
「そういわれれば、いいことばかりですね」
 そういわれればって、何も言ってないよ?声に漏れてた?
「呪いのほうは僕が5年の間に必ず解呪の方法を見つけますし。5年間、離れていてもユーリさんが誰かと結婚してしまうという心配をしなくて済みますね」
「キリカもなんかほしいのよ!」
「俺も、俺も!なんか、呪いの剣とか!」
 いや、基本的に呪いのグッズに期待をかけちゃだめだよっ。

 ……って、
 ゲットしました。
 キリカちゃんは鳴らない鈴。普段は全然うんともすんともならない。
 危険が迫ると大音量で鳴るため、敵に気が付かれてさらに危険という……まったくもって意味の分からない品。
 ただし、猫の獣人が身に着けると、危機が迫ったときに猫の耳にしか聞こえない周波数で鳴るため、敵が猫系でない場合は有用。
 って、そんな有用話なんてどうでもいいっ!
 髪の毛を少し結んで、そこに黄色い鈴をピンクのリボンで結んだキリカちゃんのかわいいことかわいいこと!
 カメラ、カメラ、ああ、カメラが欲しい。
 かわいい。語彙力があるとかないとか超越してもう、かわいいしか出てこない。
 残念ながらカーツ君とブライス君に合いそうなアイテムは見つからなかった。
 というより、10ほどの品を高度鑑定をしたら、魔力増強剤の効果が切れたようです。
 かれこれローファスさんがギルド長に会いに行ってから1時間は立つかな?
「まだ帰ってこないね」
 ローファスさんの部屋を出て、4人で受付の人にローファスさんに伝言を頼む。
「ローファスさんに、僕たちは街を見てきますと伝えてもらえますか?」
「はい。行ってらっしゃいませ」
 街!
 大きな街!
 実は気になってたんだよね。ギルドに来る途中に見えた街の様子。まるで新宿や渋谷のよう。あ、もちろん全然違うんだけど。前の町が、地方都市の商店街だとすると……っていう意味で。


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ほら、想像するのです。
猫耳に、鈴リボンつけた幼女……。
想像するのでーす。
まって、それじゃないよ、いま、デジ〇想像した貴方、お歳がバレますわよっ!

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