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3話 本命は誰だ?


 廃墟となった東京を後に浮遊都市の何時もの部屋に戻ってきた俺達、テナから異常事態の発言を受けそのままテーブルを囲い皆無言で座っている。

 テナの話ではガイルアは非常に高い生命反応検知を持っており、地上に居ようが地下に居ようが現在のように空に住んで居ようが突然現れるそうだ、つまり、地球のどこにいても捕獲範囲に入っているというわけだ。

 リヴァララは休眠状態になっていれば見つからない事は検証済だそうで、ガイルアの検知と共に即座に休眠モードに入ったそうだ。

「とりあえず俺の知り合いの中条に地球の現状を聞いておこうと思う、全員で行くぞ」

 東京に行ったとき中条の気配を感じたので生きてはいるようだ、あとは現在の情勢も聞いておきたい、俺一人で行ってもいいのだが俺が居ない時に襲われれでもしたら、テナを地球に連れてきた意味がないからな。

 あとは念のために麻衣をパワーアップさせておこう、瑠偉と美憂にも力をやるか瑠偉には治療系を美憂は身体強化系でいいか、攻撃・回復・回避とバランスを取っておこう。

 その前に落ち込んでいる3人を何とかしないとな。

「お前らまだ両親が巻き込まれたと考えるのはまだ早いんじゃないかな?
 寿命と言う線もあるしな・・・」
「そうだな…諦めるにはまだ早いな、瑠偉、麻衣・・・まずは行動しよう。
 悩んでいても先に進まないぞ」

 さすが美憂さん…頼りになります。

「まずガイルアを何とかしてリヴァララに両親の調査をさせよう、
 その前に、君たちはガイルアからの自衛手段の力を授けようと思う。
 短い間だったが一緒の部屋で過ごした仲だ、簡単に死なれちゃ目覚めも悪くなる」

 俺の言葉に瑠偉と美憂は嫌な顔を見せる、麻衣との関係を知っているので恐らく対価を求められるのだろうと思っているのだろう、しかしこんな状況で対価を求めるほど俺も鬼畜じゃない。

「対価は求めないから安心しろ、これで貸し借り無しだぞ」
「兼次ちゃん?」

 麻衣はテーブルに肘をついて顔を俺の方に近づけ、不満そうな顔で言った。

「な、なんだ麻衣?」
「対価を払っている私の立場は? 騙されたの?」

「まぁ、当然そうなるわな。
 そこでだ! 麻衣は更にパワーアップさせてやる、街滅ぼすなよ?」
「まぁ、いいでしょう強くなるなら…」

 麻衣はそのまま椅子に座り腕を組み何やら独り言を言っている、おかしな笑い声も聞こえたがそこは放置だな…
 そのまま3人に力を流し込む、瑠偉は嫌な顔押されたが強引にやった。

「使い方は麻衣に聞いてくれ、瑠偉は治療を美憂は身体強化を麻衣は物理防御だな。
 俺が近くに居ない時にガイルアに襲われたら、それらを駆使して逃げ切ってくれ」

「何処に逃げるわけ?」
「その辺は瑠偉の機転に任せる。正直言って出会ってみないと分らないからな…
 とりあえず俺と一緒に行動していれば守るから、あくまで俺が側に居なかった時の保険だ。
 では行くぞ、ほら俺の手に触れろ」

 俺が手を出すと各々が触れる、最後にテナの冷たく固い感触の物が俺に触れる、中条の気配を探り正確な位置を特定しテレポートを開始した。

 ……
 …

 部屋に現れ周囲を見渡すと円形のテーブルを囲んで6人、目の前に子供が1人、一斉に俺達に視線が集まる、しかし特に取り乱す様子もなくこちらを伺っていた。当然彼らも能力者だ俺がここに来ることは予想済みと言うことか。

「はは、ハ、ハレーム要員連れてきたよ……解っていたけど、キツイわー」

 目の前にいた子供がそう言って座り込んだ、髪が肩まである10歳ぐらいの女の子のである、宇宙で過ぎた時間からいって46歳以下に知り合いは居ないはずであるが、その少女は俺を知っているような感じだ。

「チェーーック」

 と突然大きな声を張り上げ少女が俺をめがけて突っ込んできた。
 顔を俺の股間に押し付け、手で俺のズボンをつかみ大きく深呼吸を何度もしている。
 さらに顔を左右に振り念入りに臭いをかいでいる。

「クンクンクン、スーハー、スーハー」
「なんだ、このガキは‥‥離れろ」

 少女の肩に両手を置き引きはがす、少女は俺から離れると同時に力が抜け床に座り込み、両手を床につけ息を整えている。

「ハァ、ハァ、何てこと・・・女の香りが、でも一人分ってのが幸いね。
 本命は大和撫子風美少女、対抗がツインテールの巨乳ちゃん、穴候補がショートヘアのモデル風、で…まさかの大穴が異星人か…
 確かめないと……たしかめないとぉ!」

 たしかめないとぉの声と共に少女は顔を起こしこちらを見た、瑠偉は何かを感じたのか少し後ろに下がり俺の方を見る。

「な、なに? 兼次の知り合いなの?」
「時間軸的に46歳以下の知り合いは居ないはずだが…」

「夜巳ちゃんの絶対避けられない、ターックル!」

 少女はその掛け声とともに瑠偉に向かって素早く、そして姿勢を低くして向かって行った。
 夜巳は瑠偉の前に来ると両手でスカートをまくり頭をその中に入れ込む、スカートの中で顔を左右に振っているのが解った、両手をお尻に回してがっちり顔を固定して深呼吸をしている。

「クンクンクン、スーハー、スーハー」
「ちょっと、ちょっと、やめて、何するの」

 瑠偉はスカートの上から両手で入ってきている夜巳の頭を必死に押しのけようとしている、しばらくその状態が続き夜巳の方から離れ床に座り込んだ。

「ふぅ~処女か・・・よかった、よかった」

 嫌悪な表情の瑠偉を尻目に夜巳は麻衣を見る、次はこっちに来ると思ったのか麻衣はスカートを抑え距離を取った。

「てことは・・・本命は胸か! 胸なのかぁ!
 胸の大きさで女の価値を測るなー、ターックル!」

 夜巳は麻衣に向かって行こうとするが途中で方向を変え美憂に向かって行った。

「と見せかけて、こちらを先にチェーック!」

 運動神経がいいはずの美憂を素早くキャッチした夜巳、顔を美憂の股間に押し付け瑠偉の時と同じ様に顔を左右に振り深呼吸をしている。

「クンクンクン、スーハー、スーハー」
「うぁぁぁ、まてまて、やめろって」

 日ごろから体を鍛えている美憂は簡単に夜巳を引きはがした。

「処女か・・・安心安心。
 でも、お尻の弾力は最高でしたよ!」

 そう言って夜巳は右手の親指を立てて美憂に向け、再び麻衣を見る。

「ふぅ~、これで貴方で決まりですね。
 とその前に、異星人の香りを確かめないと……ハァハァ
 夜巳ちゃんターックル! ヒャーッハ」

 ヒャーッハの掛け声とともに夜巳はテナに向かって勢いよくタックルをした。


 ガコーーーン
 

 とても大きな衝撃音が部屋中に響き渡った。

「か、かたい」

 夜巳はタックルの姿勢のまま床にそのまま倒れこんだ、力のない声と共に目を閉じ動かなくなる。

「逝っちゃったよ」
「すごい音がしたけど、大丈夫なの?」

 麻衣、美憂、瑠偉は夜巳に近づくが夜巳は全く動かない。

「息はあります、骨にも異常はありません。ちなみに私に損傷はありません」

 冷静に分析するテナを見るが何事もなかったように、そしていつも通りに立っている。
 まぁ機械だから人がぶつかって来ても大丈夫だろう、ましてや子供だしな。

「このガキは放っておこう、そのうち目が覚めるだろう。
 では中条よ、聞きたいことがあるが話してくれるよな?」
「ふむ、今椅子を持ってこさせる落ち着いて話そうか」

 中条がそう言うと入り口から人が椅子を持って入ってきた、そのまま椅子を並べ俺達は座る、夜巳は仰向けに起こしそのまま床に放置した。

 俺は中条を見て言った「では始めようか」

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